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「なんでよりによって自民党から出るんですか?」『ラブひな』『ネギま!』…ヒットメーカー赤松健を決心させたもの

赤松健さんインタビュー#2

2022/03/06
note

「オタク層という票田が可視化された」先にあるもの

――……本当ですか?

赤松 別にゼロではないですが、以前のように表立って言う人はいませんよ。それは表現規制に反対する活動を続けていた山田太郎さんが、2019年の参院選で自民党の公認を受けて出馬し、党内2位の54万票を集めたからです。良くも悪くも、生半可に手を出して“ヤケド”したくないんでしょう。

――「オタク層という票田が可視化された」と考えれば納得はできます。しかし、これまでの規制の動きを見ていると、にわかには……。

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赤松 もちろん「規制しようという人が表立ってはいなくなってきた」だけであって、積極的に創作界隈を盛り上げていこうという議員は、山田さん以外にはあまりいません。

 この状況、「山田さんは孤立していてヤバイんじゃないの?」と思います。もし山田さんがご病気でもされたら大変ですよ。せめて自民党内にもうひとり、山田さんと同じような人がいないと、危険です。

 山田さんからは長年にわたってアプローチを受けていましたが、ちょうど『UQ HOLDER!』の終わりが見えてきたこともあって、そのタイミングで「お受けします」と御返事しました。ここまでお待たせしたのは本当に申し訳なかったと思います。本当はもっと早くにクリエイターが声を上げるべきでした。

 

――ちなみに自民党からの公認って、どうやってもらうんですか?

赤松 自民党の選挙対策委員会に書類を提出して面接を受けるんですよ。私の場合、山田さんからの推薦があったということになります。

「講談社の担当編集は驚いていましたけど…」

――出馬を表明されてから、周囲の反応はいかがでしたか?

赤松 講談社の担当編集は驚いていましたけど、「やはりな」という感じもあったようです。それまでも山田さんと密に活動していましたからね。

 

――講談社からすれば、看板作家が連載をやめることになります。引き留められたりはしなかったのですか?

赤松 止めるんだったら、ほかにタイミングはあったはずですよ(笑)。「週刊連載やりながら児ポ法反対活動はやめろ」とか。