バットマンが、新たな監督とキャストでスクリーンに帰ってくる。『THE BATMAN-ザ・バットマン-』を監督したのは、『猿の惑星:聖戦記』などを手がけたマット・リーヴス監督だ。本作にはまだ誰も見たことのない時期のブルース・ウェイン(バットマン)が登場する。

「ブルースがバットマンになると決めた経緯については、もう語られている。それも優れた形でね。なので、僕はその少し後の彼を見つめてみたかった。今回描いたのは、彼がバットマンになって2年目の頃だよ。彼はまだ完全にバットマンを作り上げていない。情熱はあるものの、自分が何をやろうとしているのかはっきりわかっていない。そんな時期の彼だ」

マット・リーヴス監督

 過去にマイケル・キートン、クリスチャン・ベール、ベン・アフレックなどが演じてきたブルース役に抜擢されたのは、ロバート・パティンソン。『トワイライト』シリーズで全世界の女子のアイドルになった後、インディーズ映画の個性的な役を続けて選び、『TENET テネット』にも出演し、今やすっかり実力派俳優として認められた。

ADVERTISEMENT

「僕はまず、ブルースと同じ年齢層で、幅のある役者を思い浮かべてみた。今作のブルースは、高級車を運転するプレイボーイではない。家族に起きた悲劇のせいで、精神がメチャクチャになっていて、依存症のような状態。そしてロックスターのようで、カート・コバーンみたいに、自分の仕事に夢中でありながら、内面に大きな苦悩を抱えている男。そう考えるうちに、ロブが浮かんできたのさ」

 一度彼をイメージすると、ほかの役者は考えられず、プロデューサーに「もし断られたらどうしよう」とつぶやいたりもしたと笑う。パティンソンは最初のミーティングで、このキャラクターにどう挑むかをリーヴス監督と話していくうちに、どんどん魅了されていったという。そんなふたりがこの映画で作り上げるのは、フィルムノワールの名作を彷彿とさせる世界だ。

「最も大きく影響を受けた映画は『チャイナタウン』。あの映画の主人公は、チャイナタウンで過去に起きたことにとらわれている。ノワールでは、場所が重要な意味を持つ。そこから逃げようとしても、引き戻されるんだ。今作でもブルースは腐敗したゴッサム・シティから抜け出すことができない。他には『コールガール』も参考にした。あの映画にあるホラーっぽい雰囲気を、今作に求めたんだ」

 最大の困難は、パンデミックだった。撮影がスタートしてすぐ、コロナが世界を襲い、中断を余儀なくされたのである。

「果たして撮影を再開できるものか、僕らにはまったく見えなかった。ようやく許可が出ると、検査を頻繁にし、マスクを着用して挑んだよ。まだワクチンができる前で、不安はあったけれど、世界がパニックになっている時に集中できることがあったのはよかった。僕らはバットマンのおかげで、パンデミックを乗り切れたんだよ」

Matt Reeves/1966年生まれ。10代の頃からの友人J・J・エイブラムスと企画したドラマ『フェリシティの青春』が大ヒットし、エイブラムス製作の映画『クローバーフィールド』で監督を務める。近作に『猿の惑星:新世紀』『猿の惑星:聖戦記』など。

INFORMATION

映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
3月11日公開
https://wwws.warnerbros.co.jp/thebatman-movie/