——福永騎手にとって最初のダービー制覇でした。
福原 ぼくは4回ダービーを喋っていて、3回福永さんが勝っているんです。だから何か縁を感じますね(笑)。
——福原さんはCSの『武豊TV!2』も担当されています。武豊さんのレースでは思い出はありますか。
福原 競馬番組の司会をしていて、1回だけ泣いてしまったことがあるんです。それが2013年にキズナが勝ったダービーで。あのとき、ゲストの方が「武騎手はダービー5勝目ですね」と言ったんです。
そこでぼくが即座に「いや、それまでの4勝とはぜんぜん違う勝利です」と。武騎手が大けがをして、乗るレースも勝ち星も減って、そこからのダービー5勝目だったんですね。それで期せずして泣き出しちゃったんですよ。
番組の終わりが近かったので払戻金を言わなきゃとなってすぐに切り替えたのでそんなに大事にはならずにすんだんですけど(笑)。あのキズナのダービーというのは、思い出に残っていますね。
「家で競馬中継を見ながらブツブツ言っていたら、家族に気持ち悪がられてしまいますから(笑)」
——『武豊TV!2』では、その武さんが苦労されていた時代、勝ち星が少なくなっている時期から福原さんはご一緒されています。
福原 どんなときでも武豊さんはたんたんといつも通りにされていて、感情の起伏というか、人を恨んだり妬んだりしないし、勝って奢らず負けて腐らず。スーパースターたる人はこういう人なんだなというのを近くで見ていて感じますね。
キズナのダービーのインタビューで「僕は帰ってきました」と言うのも……。だからぼくがあのときに泣いたのも間違いじゃない。誰もがうるっとくるべき、ダービーだったということで正当化しています(笑)。
——そして今年の春にフジテレビを退社されて、武豊さんの事務所と業務提携をされています。やはり『武豊TV!2』の縁があって。
福原 声をかけていただいて本当にありがたいですね。競馬一本で、と決めたわけではないのですが、競馬でつながりができた方がほんとうにたくさんいらっしゃるので、これからもそういった方々にお世話になっていければと思っています。
退社して広い海に漕ぎ出たことで、また違ったところから声をかけていただけるようなことがあれば、もちろんトライしていくつもりですし、まだそういう体力はあるつもり。年齢的にもね。だから、ちょうどいいタイミングだったんじゃないかなと思っているんです。
まあただ、競馬に関しては表現できる場がないとダメですよね。家で競馬中継を見ながらブツブツ言っていたら、家族に気持ち悪がられてしまいますから(笑)。
写真=末永裕樹/文藝春秋
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。