——土曜日も競馬場で実況をしているんですね。
福原 練習も含めて、土日は朝からずっとやっています。競馬の実況はほんとうに大先輩が揃っていますし、その中で喋るので緊張感はありました。
このレースも自分じゃなくて先輩方だったら確実にそつなくこなしているんだろうなと。そう思うと失敗できないというプレッシャーはあります。ただ、ダメなのは変な緊張感ですよね。極端な話、双眼鏡を持つ手が震えているとか、やたらとノドが渇くとか。若いときはそういう緊張をよくしていたなあと思い出します。
——ちなみに、実況は実際のレースを双眼鏡で見てしゃべっているんですか? それともモニターで?
福原 基本的にいまはモニターを見て実況するようになっています。双眼鏡でやるのが基本だと言われるんですけど、あくまでテレビなので映っていない馬のことを喋られても違和感があるでしょうから。
ただ、モニターだと16頭や18頭のうち、5頭くらいしか映っていないんですよね。そこでお客さんの歓声がわーっとあがって、モニターで映していないところで躓いた馬がいたりすると、そういうのをフォローするのが難しい。そこは心得ておかないといけないですね。
凱旋門賞も現地で実況「オレはエネイブルの走りを見たぞ」
——フランスで行われる凱旋門賞も実況されていますが、それもやはりモニターですよね。
福原 そうです……と言いたいところですが、現地で実況したこともあるんです。ただ、日本のメディアはあまりいい実況席をもらえなかったので、モニターにつきっきりの実況になったんですが。
それでも、2018年はエネイブルが勝った凱旋門賞だったのですが、やっぱりその走りを自分の目で見たいじゃないですか。だからそろそろ席の近くに来るぞというときは、モニターじゃなくて生で見て。「オレはエネイブルの走りを見たぞ」と焼き付けました。
朝放送→飛行機→牧場→夕方帰って翌朝『めざましテレビ』…“筋金入りの競馬ファン”アナウンサー時代
——それは自慢になりますよね……。競馬が好きな人は、「あの馬を生で見たぞ」というのは絶対自慢しますから。
福原 学生時代から北海道の牧場にもよく行っていたので、いろいろ見ました。シンザンとかハイセイコーとか。ぼくが学生の頃は今よりもだいぶ緩やかな時代で、けっこう自由に見学ができたんです。千歳の国道を曲がったところに電話ボックスがあって、そこで電話して「今から行っていいですか?」って言うと、「どうぞどうぞ」って。そのままレンタカーで行きました。