予防医学の権威である津金昌一郎さんの指導の下、NHK「あさイチ」で活躍中の料理研究家、牧野直子さんに「がんにならない献立」を作っていただきました。 このレシピを参考に、健康な食生活をぜひ実践してください。
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これまでの原稿で、がんのリスクを下げる食材、反対にリスクを高める食材について、多目的コホート研究など人を対象とした研究からのエビデンスに基づいて解説してきました。
そこで最後に、これまでの検証をベースにした「一週間の献立」を考えてみます。
本稿で紹介するのは、様々な研究から導き出された「食事とがんの関係」を考慮し、しかも「日本人の食生活に合ったもの」として作られたメニューです。皆さんの日々の献立作りの“目安”として参考にしてもらいたいと思います。
野菜は「小鉢で5品」
これまで繰り返し述べたように、野菜は総じて「がん予防に効果的」と考えていいでしょう。そこで、野菜をいかにして摂取するかは大きなポイントとなります。
ブロッコリーやキャベツに含まれるイソチオシアネートという成分が、がんを予防するのに役立つ可能性はすでに記しました。ニンジンやカボチャなどの緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンや、トマトなどに含まれるリコペンという色素成分は、がんの大元となる活性酸素の働きを抑制するし、ゴボウやシイタケなどに豊富に含まれる食物繊維は大腸がんのリスクを下げることが分かっていることなどから、厚生労働省は、野菜を一日あたり350グラム以上摂取することを推奨しています。
とはいえ「350グラムの野菜」がどの程度か、中々見当が付きにくいものです。そこで一つの目安になるのが「小鉢で5品」という考え方。調理方法に関係なく、一日に野菜を小鉢で5品目食べれば、概ね350グラムを摂ることができる、というものです(表では副菜と汁物を合わせて5品になっています)。
また、野菜は一つの種類に限定してたくさん食べるより、多くの種類を食べる方ががん予防の効果が大きいことが期待できます。その意味でも「小鉢で5品」という考え方は理に適っていると言えるでしょう。
それに加えて、一日に一つの果物を加えると良いでしょう。