バリエーションを考える
日本では、和食、洋食、中華など様々な料理が身近にあり、洋食だけでもアメリカ、フランス、イタリアなど細分化されています。いずれの食材もスーパーに行けば手に入り、外食ともなれば無数に多国籍の料理を楽しむことができます。
和洋中とバリエーション豊かな食生活を送ることで、それぞれのいい点を取り入れ、欠点を補完することが可能になります。
日本食のヘルシーさが海外で認められていることはたびたび紹介されますが、だからといって和食ばかりに偏ってしまうと、塩分摂取量が多くなりがちです。塩分摂取過多は、高血圧を介して脳卒中や心臓病を引き起こすだけでなく、胃がんのリスクを高めることにもつながります。「和食一辺倒」は、決して健康志向ではないのです。
むしろそこに洋食が入り込むことで、自動的に脂質を摂取することになり、バランスが取りやすくなります。加えてたまには中華料理を食べれば、メリハリが効いて食事そのものが楽しくもなります。
人間にとっての食事とは本来生きていく上で不可欠な栄養補給の手段というだけではなく、「楽しみ」でもあると思います。そういう意味では、「バラエティに富んだ食生活」が、結果としてがん予防にも効果を発揮するということは理想的です。
地中海料理に注目
洋食の話が出たついでに言うと、地中海料理はがん予防の観点からもお勧めの料理ということができそうです。
地中海料理の主要構成食材であるオリーブオイル、野菜、果物、そしてワインなどは、どちらかといえば循環器疾患予防の視点から有効性の検証が進んできたことはご存知の通りです。しかし、じつはがんに関しても研究は始まっています。まだはっきりとしたエビデンスは揃っていないものの、私の印象としては、何らかの形でがん予防に関係していそうだとは思っています。
地中海料理ががんにいい理由を考えると、「色々な食材が盛り込まれている」ということに尽きるでしょう。同じ洋食でも、アメリカ的なメニューとなると、大量の赤肉やフライドポテトなど、がんを呼び込むリスクの高い食材が多く、地中海料理とは大違いです。
色々な食材を食べることで、「総合的なメリット」と「リスクの分散」を目指すべきなのです。