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「封印してるから話せない」男子大学生が旅先で出会ってしまった“年上の男”…安宿で繰り広げられた恐怖体験の全貌

「封印してるから話せない」男子大学生が旅先で出会ってしまった“年上の男”…安宿で繰り広げられた恐怖体験の全貌

白い手 #1

2022/05/29

genre : ライフ, 社会

 久保さんがその宿に着いたとき、Mさんはあと1週間で帰国する予定だと言っていた。その日は丁度、久保さんが上海から旅立つ日でもあった。そこからの1週間、日中はMさんの撮影に同行し、夜は部屋のみんなと楽しく過ごし、あっという間に時間が過ぎていったという。

最後の夜に飲み会が開かれ……

 久保さんが宿を出る前日、すなわちMさんが帰国する前日には、部屋のみんなが2人のために飲み会を開いてくれた。酒を持ち寄り、遅くまで騒いだ。そして夜も深くなり、話すことも徐々になくなって来たとき、その中の1人が上海のとあるホテルの話をした。

「前に泊まったあのホテルでえらい思いをしたんだよ。金縛りにあってさ……」

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 それをきっかけに、それぞれが心霊体験や怪談話をする流れになった。久保さんも人から聞いた話や、自分が体験した不思議な話を披露した。

 しかし全員が盛り上がって話すなか、Mさんだけは蚊帳の外だった。別に眠っているわけではないのだが、かといって話を聞いている感じでもない。久保さんは気になって、「Mさんも何か話してよ。人から聞いた話でもいいし」と声をかけた。

「封印してるから……」

 すると、Mさんはちらっと此方を見て、「いやー、俺そんな話もってないわ」と、興味なさそうにして、また顔を下げた。だが、お酒が入っているせいもあり、久保さんと他の仲間はしつこくMさんに絡んだ。

「いやあーなんかあるでしょ。聞いた話でもええねんから」

「だから無いって」

 そんな会話が何回か続いた後、Mさんはボソッと、

「封印してるから……」

 と言った。一瞬、部屋に沈黙が降りた。久保さんも思わず言葉を失ったが、すぐに堰を切ったように「封印した話? 面白いやんか、教えてよ」と、Mさんをけしかけた。