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ヒロ 去年、所有者の許可を取って、とある廃墟に撮影に行った時は、本気で身の危険を感じましたね。最初、トモさんと2人で廃墟の中を歩いていたんですけど、気がついたらはぐれてしまって。僕は気にせず探索を続けながら、ある部屋の中を覗いていたら……。突然、「ダンダンダンッ!」って地団駄を踏みながらこちらに向かってくる足音が聞こえてきました。

ドアの向こうから顔を覗かせて、こっちを睨んでいる

――トモさんではなくて……?

ヒロ 全然知らない50代くらいの男性でした。ドアの向こうから顔を覗かせて、こっちを見て睨んでいるんです。僕からだと顔しか見えないので、「武器を隠し持っているかもしれない」と思ってとにかく緊張しました。

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 僕は敵意がないことを示そうと、「こんばんは」「こちらに住んでいる方ですか?」と男性に声をかけてみたんですけど、すべて無視されて。返事をする代わりなのか、唸り声をあげて壁をバンバン叩き始めたんですよ。

 5分くらいそんな状態が続いた後、その男性は突然、踵を返してどこかに行ってしまいました。でも、僕は恐怖でしばらくその場から動けなくて……。やっと動けるようになってから、急いでトモさんを探して帰りました。さすがにその時は撮影できなかったので、動画にすることも諦めましたね。

 幽霊や怨念、呪いも怖いんですけど、やっぱり人間が一番怖いと思いました。もし人から“物理攻撃”を受けたら、命に関わるので……。

“やらせかどうか”は勝手に議論したらいい

――そんな危険を冒してまで、廃墟や心霊スポットの探索に没頭する理由は何なのでしょうか。

ヒロ リスクと撮れ高を天秤にかけて、僕らは撮れ高を優先させているからですかね。ただでさえ撮影した動画を投稿できる確率は1割未満なのに、リスクを考え始めるとさらに確率が下がっちゃうじゃないですか。

 

――しかし体を張って撮影できたとしても、「どうせやらせだろう」という声を寄せられることもあるのでは。

ヒロ こういう活動をしているとついて回るものです。でも、その意見を受けて僕たちのスタイルを変える気は一切ありません。“やらせかどうか”を議論したい人は勝手にしたらいいと思っています。