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進まない局面をつなぐ、漫才のような将棋士トーク

 タイムスケジュールはすべて私が差配し、40分から50分で休憩し、メンバーを変えた。中盤の難所で局面が進まないところでは、「勝手に喋ってくれ」と佐々木と三枚堂を送り出した。天然ボケの佐々木と冷静に突っ込む三枚堂の会話は、まるで漫才のかけあいだった。2人ともABEMAトーナメント団体戦のメンバーということで、その話題になる。

 佐々木「次、タツヤ出番だよね。ネタバレしない範囲で話しましょう。何番目に登場するの?」

 三枚堂「それこそネタバレじゃない?」

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まるで漫才のようだった三枚堂達也七段(左)と佐々木勇気七段(右)のやりとり(ファン提供)

 また、柏将棋センターでの思い出も。

「屋上でペットボトル使って野球やって師匠に怒られたよね」。そして、こっちをちらっと見て、「あ、勝又先生にも」。うんうん、そうだよ。

 三枚堂が両対局者との思い出を語った。「藤井さんが竜王を獲得した後、対局日が同じで、『竜王おめでとうございます』と言ったら、体を90度位に深く曲げて『ありがとうございます』と言われて、こんなに丁寧に」と、そのときのお辞儀のマネをする。

「三段リーグの遠征で初めて大阪に行ったんですよ。そして出口さんと対戦したんですけど、終わったあと『初めて大阪にきた』と言ったら、将棋会館を案内してくれたんですよ。私が勝ったのにもかかわらず。なんていい人だと」 2人は三段リーグの参加は同時だったが、三枚堂は1期抜けし、出口は12期6年もかかっている。出口は誰がどんなエピソードを語っても人柄の良さがにじみ出る。

 佐々木が永瀬拓矢王座と藤井について語る。

「永瀬さんと藤井さんは似ているんですよ。どちらも将棋が終わらない。永瀬さんは以前『終わらない将棋が目標』みたいなことを言ってて……」

 2人とも粘り強いので悪くなってもなかなか土俵を割らない。なので将棋が長くなると。私も永瀬自身に「将棋は長いほうがいい」と言われたことがある。佐々木は永瀬の話になるといつも饒舌になる。

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