文春オンライン
~LDK、億ション、高級マンション…「日本ではじめて」を作った“レジェンドマンション”の現在

~LDK、億ション、高級マンション…「日本ではじめて」を作った“レジェンドマンション”の現在

伝説マンションBEST45 第2回・1960年代「ヴィンテージマンション」編

2022/06/24
note

9 ヴィラ・ビアンカ(1964年/興和商事)

 まさに「デザイナーズ・マンション」と呼ばれるジャンルの先駆的存在であり、1960年代から1980年代まで、いずれも特色がありモダンかつ美麗なマンションを世に送り出した興和商事が分譲した「作品」である。

「ヴィラ・ビアンカ」(渋谷区神宮前)は同社の“ヴィラシリーズ”の中でも特に有名な物件である。その名が知られるのはデザインの先進性のみではない。このマンションには骨董目利き・美術評論家として有名な青山二郎が住んでいた。このような理由もあってか、多くの著名人が訪れたという逸話が残っている。このような先進性がある種の人を特に惹き付けるのかもしれない。

ヴィラ・ビアンカ(2013年7月撮影)
ヴィラ・ビアンカの間取り図=平面図 現在の視点からもかなり先進的な間取りとなっていることがわかる

 1987年から3億円以上の中古事例が発生している。JR「原宿」徒歩8分という立地と多くの人を引きつけるデザイン、様々なエピソードが相乗効果を生み、かなり高額となっていた。

ADVERTISEMENT

 現在建て替えの話が出ており、2017年以降は9000万円を超える売事例が多く発生している。当時の価格表が残っているが、分譲価格と月額賃料が併記されており、購入か賃貸か選択できるようになっていたと考えられる。現在では見られない供給手法である。

関連記事