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築55年エレベーターなし、足かけ19年かかった分譲、だが…時代を変えたナゾの“レジェンド団地”

築55年エレベーターなし、足かけ19年かかった分譲、だが…時代を変えたナゾの“レジェンド団地”

伝説マンションBEST45 第3回・1970年代「団地の時代」編

2022/06/25
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24 若葉台団地(1979~1995年/神奈川県住宅供給公社)

「若葉台団地」(横浜市旭区若葉台)は日本最大のマンモス団地である。全66棟、階数は4階建てから15階建てまで、総分譲戸数は5198戸に及ぶ。プロジェクトの開発期間は左近山団地の19年には及ばないものの16年の歳月が掛かっている。

若葉台団地の初回1979年分譲棟(2013年2月撮影)
若葉台団地の初回1979年分譲棟(同)

 しかし、若葉台団地は終了していない“未完のプロジェクト”である。未完となった最大の理由はバブル崩壊とともに公社の財務が悪化したことである。1994年以降は分譲マンションの大量供給時代に入っており、既に民間デベロッパーがマンション供給の主役となっていた。「事実上公団や公社は役割を終えた」「民業圧迫である」という議論などがあり、事業への逆風が強かった。

 間取りを見ると、初期の分譲棟には「スキップフロア型」のエレベーターが導入されている。これは各階に止まらず、若葉台団地の場合は4、7、10、13階のみに停止して15階に住んでいる人は2階分階段をあがるというものである。

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若葉台団地には「スキップフロア型」エレベーターが採用された物件も。この物件では4、7、10、13階のみに停止する
若葉台団地内で出逢った猫

 そのため、多くの間取りでは“伝統的”な階段を中心に左右対称に設計された二戸一(にこいち)タイプの田の字プラン住戸が引き続き多く導入されている。この「スキップフロア型」エレベーターは賛否があり、1990年代の分譲マンションでは採用されなくなっている。

築55年エレベーターなし、足かけ19年かかった分譲、だが…時代を変えたナゾの“レジェンド団地”

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