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映画と演劇の相互作用

――監督はパートナーであるキム・ソニョンさんと一緒に劇団を立ち上げ、戯曲を書き演出もされているそうですが、映画の監督と演劇の演出を両方手がけるのは、韓国ではわりと普遍的なのでしょうか。

 韓国でも珍しいほうだと思います。私自身、子供時代の夢は映画監督になることでしたが、たまたま劇団で仕事をする機会に恵まれ、そこからキャリアをスタートさせることになりました。演劇の仕事は、ある意味で映画を作る訓練にもなっています。俳優さんたちと直に意思の疎通を図りながら一緒に劇を作れるのは貴重な体験ですから。今後も、「この作品だったら演劇のほうが適しているな」と思ったら演劇で、「これは映画のほうがいいかな」と思ったら映画を作りたい。歳を重ねても、両方で仕事ができる演出家/監督でいたいですね。

©2020 Studio Up. All rights reserved.

――『三姉妹』は最初から映画として考えた話だったのですか? それとも演劇として作ることも考えていたのでしょうか。

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『三姉妹』の企画を受け入れてくれる先が見つからず苦労していたとき、周囲の人からは「いっそのこと舞台でやってみてはどうか」と何度か言われました。でもやはりこの物語は、映画という形にして多くの観客に見せたかった。それで映画化までに2、3年くらいかかってしまいました。

 おもしろいのは、映画の制作会社に持ち込むと「これは映画の脚本というより戯曲みたいだ」と何度も言われたことです。ところが演劇界の人に同じ脚本を見せると「これは映画的だね」と言われる。どうも私の作品にはこういうことがよくあるんです。考えてみると、映画と演劇はつねに相互作用の関係にあるのかもしれませんね。私の場合は特に、映画を作ると必ず演劇的な要素が入り込み、演劇を作ると映画的な要素が出てくるようです。

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――たしかに『三姉妹』は、一堂が揃う誕生会など演劇的に感じられる場面が多々ある一方で、劇中ではフラッシュバックなど映画的な技法が見事に使われていますね。フラッシュバックの挿入によって、観客は、過去に彼女たちに何があったのかとドキドキしながら見ていくわけですが、こうした構成は当初から考えていたのでしょうか。

 おっしゃるように、『三姉妹』は、一貫して現在を生きる三姉妹の姿を見せています。ですが、三人の人生にはどこか噛み合っていないところがあり、何か歪んだ姿がある。いったいこの三人はどんな人生を生きてきたのかと観客が疑問を感じ始める頃あいを見計らって、いくつかフラッシュバックを挿入しています。そして最後に、観客はそれまでの謎に対する答えを知ることになる。そういう構成を、脚本を書き始めた初期から考えていました。最初はもっとたくさんフラッシュバックを入れるつもりだったんですが、それではあまりにも説明しすぎかなと、不要な部分は削り、今のような形に落ち着きました。