昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

特集観る将棋、読む将棋

2022/07/08

師匠からは「二段に落ちてもいいんだよ」

――大学1年の秋から参加した三段リーグは、1勝17敗で降段点がつきました(降段点は4勝以下につく。次期に5勝すれば消えるが、4勝以下だと二段に降段する)。

渡辺 春のリーグ抽選が終わった直後に三段になったので、参加は半年待ちでした。うまくいかないところは自分らしいです(笑)。

 降段点はもちろん力不足ですが、不思議なほど負けるように手がいくんです。最後のほうは「どうせ行っても、負けるんだろうな」という気持ちでした。青嶋さんに負けて降段点が決まり、最終日の2局は純粋な消化試合だったんですよ。二段まではいいとこどりの成績で決まるので消化試合がなく、初めての経験に不思議な感覚でした。

 三段リーグ最終日は、「荻窪」のメンバーで打ち上げをするのが恒例です。そのとき、師匠から「二段に落ちてもいいよ。若いんだから、また上がればいいんだよ」といわれて、ちょっと心が楽になりました。もちろん、本心は違うと思いますけど。

 

いろんなことが笑い話になってよかった

 新井さんから見ても、初参加のリーグを終えた渡辺三段は元気がなかった。ただ、いまは当時のことが懐かしいと話す。
「寿司屋の打ち上げは、最初はお通夜みたいになっちゃったけど、最後は盛り上がって『来期も頑張ろう』と終わりました。

 三段リーグって、つらいところだと思います。スパンが半年で、何連敗かしたらもう上がる目がなくなっちゃうでしょう。ほとんどがトーナメントのプロとは対局のスパンが違う。強くても、プレッシャーで潰されちゃう子を何人も見てきました。若い四段は成績がいいでしょう。それは三段の呪縛が解けるからなんでしょうね。

 和史君もプロの水に慣れて、いまがいちばん充実して楽しいんじゃないかな。いまとなっちゃ『0勝18敗のほうがかっこよかったか』って冗談をいうぐらいだし、いろんなことが笑い話になってよかったよ」

写真=平松市聖/文藝春秋

その他の写真はこちらよりご覧ください。

この記事の写真(11枚)

+全表示

この記事を応援したい方は上の駒をクリック 。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春将棋をフォロー
z