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髪の長い女性が言い残した言葉

 攻撃が終わると、部屋をぐるぐる飛び回っていた女性の頭が、再び私の上まで来てじっと私を睨みつけました。

「ごめんなさい。許してください」心の中で取り敢えず謝り続けました。それでも女性は私を睨み続けて、低い声でこう言ったのです。

「見ているからな」と。

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 その瞬間、今まで感じた事のない頭痛に襲われて、そのまま気を失いました。

 朝、布団から起き上がろうとすると、全身に痛みが走りました。外見上は何もないのですが、昨夜の火の玉が体に当たった打撲の痛みだと分かりました。

 ふと部屋の机の上を見ると、「身代わり御守」と刺繍された袋と、その中に入っていたお経が書かれた木片が並んで置いてありました。ここで初めて分かったのです。昨夜の出来事は、全てこの御守りの仕業だったのだと。

「身代わり御守」の正体とは…

 私は珍しく、朝から学校に行きました。痛い体を引き摺りながらでも学校に行って、桐本君に御守りの正体を聞きたかったのです。

 しかし、桐本君は学校を休んでいました。そこで、他の生徒に桐本君の家を教えて貰い、自宅まで直接、会いに行く事にしました。

 桐本君の自宅の前まで来ると、たまたま桐本君が出て来ました。声を掛けようとしたその時、彼は私の姿を見ると、走って逃げ出しました。

「ちょっと待てよ。聞きたい事があるだけだから」と大きな声で言いましたが、彼はそのまま逃げていきます。私は全身の痛みを堪えて走って、桐本君に追いつきました。どうやら桐本君も、昨日、私に殴られた所が痛かったみたいで、全速で走ることが出来なかった様でした。