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「研修会には戻りません」一度は資格を失った女流棋士。それでも彼女が再挑戦を決めた“先輩の言葉”とは

「研修会には戻りません」一度は資格を失った女流棋士。それでも彼女が再挑戦を決めた“先輩の言葉”とは

田中沙紀女流1級インタビュー #2

2022/09/03
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なりたい女流棋士像とは?

――田中先生のなりたい女流棋士像というのは、どのようなものでしょう?

田中 私のなりたい女流棋士像は、鈴木環那女流三段と中村真梨花女流三段です。お二人とも強くて礼儀正しく、謙虚で後輩の面倒見も良い、とても頼れる先輩女流棋士だからです。強い先輩は、まだ弱い後輩と指したり相談にのったりしても何の得もないと思うのですよね。強くなって自分のライバルになるかもしれない。それなのにお二人は「また指しましょう」と言って後輩を気遣ってくれました。相談にのっていただき、アドバイスをくださったこともありました。私も強くなって、将棋連盟もLPSAも関係なく後輩の面倒を見られる女流棋士になりたいと思っています。

 恩人でもある圭さんのように親身になってくれる方にも憧れます。まだC級に上がったばかりですけれど、A級で圭さんと指してみたい気持ちもあります。まずは女流初段になることが目標ですね。

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2022年3月に公開で行われた1dayトーナメント「府中けやきカップ」ではLPSA女流棋士5人のトーナメントを勝ち抜き、田中女流1級が優勝。羽生善治九段が特別ゲストとして解説を務めた(写真提供・LPSA)

――地方で働きながら研修会に通うなど田中先生しかしていないようなご苦労もされています。田中先生にしかできないアドバイスもあるのではないかと思います。

田中 そうですね。今は好きな将棋で生活できるのが本当に幸せで、そのありがたさが分かります。こんな明るい未来があるとは以前は思っていませんでした。女流3級時代はまったく余裕がなくて、いつも見えない重りがあって何をしても楽しくなかった。人と接する時も暗くなりがちで……。

 今は明るくなったと言われますし、他人に対して何かできる余裕も少しできました。たくさんの先輩に助けてもらったので、私も後輩の役に立てることがあればいいなと思います。現在のように将棋を仕事にして暮らしていけるのも、先輩の棋士や女流棋士の先生方、スポンサー様、ファンの皆様のおかげです。私も頑張って、女流棋界を盛り上げて、よくしていきたいです。 

写真=杉山秀樹/文藝春秋

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