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 東扇島も臨海部に7つある埋立地のひとつだが、人工海浜や「潮風デッキ」と呼ばれる遊歩道があり、浮島町や千鳥町を海側から見ることができる。

 

 昼間に目の前で見た浮島町や千鳥町の工場は圧巻だったが、陽が落ちてから対岸で見る工場にも独特の風情がある。

 下の写真は明かりがつき始めた浮島町や夜光の工場。それを背景に製油所で燃料を積んだタンカーが外洋へと向かい、上空を見ると藍色に染まった空を飛行機が飛び立っていくのだ。

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 そして、夕日に染まる工場群は幻想的でもある。

 

夜景にはない魅力

 川崎工場地帯は工場萌えエリアとしてすっかり定着し、いまや工場夜景はさまざまなツアーが組まれて大人気になっている。

 しかし、この巨大な工場たちがどのような時代に生まれ、どんな役割を担ってきたかを考えてみることも工場の楽しみ方のひとつだ。きっと夜景にはない魅力が見えてくるはずである。

写真=松本輝一/文藝春秋