文春オンライン

2022/10/02

genre : ニュース, 社会

 ベビー・ゴステロを通して渡世の縁ができたものの、最後は肥田に拳銃を突きつけて、

「いままではあんたが一番偉かったけど、今日からはワシが一番偉いんじゃ!」

 との啖呵を切って、組を離れ、それ以来、ずっと一本独鈷を通してきたこと。

「けど、いまから考えたら、これ、ワシのほうがよほど外道ですわ。こんなできの悪い男はないと、いまは反省しとりますんや」

 と打ちあける天野に、ボンノは、

「そら、おまえ、たまたま悪い親分に当たっただけやないかい。なあ、政治家でもええ政治家もおれば、悪いのんもおる。ヤクザでも悪い親分もおれば、ええ親分もおるんや。誰も彼もが外れとは限らんぞ」

 と言って、なお口説いた。

 それでも天野は容易に首をタテに振ろうとしなかった。

天野洋志穂氏(『爆弾と呼ばれた極道 ボンノ外伝 破天荒一代・天野洋志穂』より)

 とは言え、心はすでにかなりの部分でボンノに傾いていたのだが、その話にすぐに飛びつくのは、男の作法、嗜みとしてはどうか──と、なんとなく天野には思われたのだ。ただ、それだけのことだった。

 この件があって、ボンノはなおのこと天野に惚れこんだ。本拠とする神戸から大阪に来るたびに天野を呼び出し、連れて歩くようになったのだ。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー

関連記事