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母親に「頑張りなさい」と言われ続けて育った男性が、現実逃避の末に手を染めてしまったモノとは

『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』より #2

2022/10/06

genre : ライフ, 教育, 社会

note

 もちろん、良い結果に対し褒めることも重要です。しかし、結果のみに注目するのは良くありません。頑張っても結果につながらないことはいくらでもあります。それでもまたチャレンジしようと思える子に育てるためには、プロセスを見て声をかけることを習慣化することです。

やる気がなさそうに「見せているだけ」ということも

 本人は頑張っているつもりだけれど、やる気がないように見えることもあります。非行少年は「やる気がなさそうに見える」子が多いです。努力している姿を見せるのがかっこ悪いと思って、あえてやる気がなさそうに振る舞っている場合もあります。大人に不信感を持っており、ひねくれてしまっているのです。

 そういう子に対して「やる気出せ」「頑張れ」と言っても逆効果です。「うるせぇ!」と、反抗し努力をやめてしまうでしょう。

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 やる気がなさそうに見える子でも、何かしら行動をしていることがあるはずです。それを見つけてすかさず声をかけるのが一番です。

「おっ、やってるじゃん」 

 それだけだっていいのです。

「別に何もやる気ない。努力なんかしたってムダだし」と冷めた態度の非行少年に対しても、ちょっとした行動を見つけてプロセスを褒めるうちにバーッと喋(しゃべ)るようになるということがよくあります。

 ひねくれていたのが、元のまっすぐな状態に戻っていくようです。ひねくれてしまった大人を戻すのはそれなりに難しいと思いますが、子どもの場合はさほど難しくありません。少年鑑別所にいる、ひねくれ度MAXのような非行少年でさえ素直に戻るのですから。やる気がなさそうだったり反抗的だったりするからといって、親やまわりの大人がすぐにあきらめるようではいけません。

母親に「頑張りなさい」と言われ続けて育った男性が、現実逃避の末に手を染めてしまったモノとは

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