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可燃ゴミを掴んだ途端に血が吹き出て…「触るなーーっ」日本で一番有名なゴミ清掃員が語る、人間性を疑う“けしからんゴミ”

マシンガンズ滝沢秀一さんインタビュー#2

2022/10/20
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――滝沢さんはゴミの多さについて警鐘を鳴らしていますが、「金持ち=ゴミが少ない」と考えると、今の日本は貧しいことになります。

滝沢 めちゃくちゃ貧乏になっていると思いますし、このゴミの多さを見ている限り、今の状況からずっと脱却できないと思います。だって、安いものしか流れてこないですもんね。世の中の指標が「安さ」である以上、ゴミは減らないですよ。

――ゴミを減らすには何が必要ですか。

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滝沢 学校で教えるべきだと思います。あと、ゴミに関してストレス溜まってる人ってけっこう多いんですよ。僕、いろんなところで講演会やってるんですけど、質問ありますかーって聞くと、「何回注意してもゴミ出しをちゃんとしてくれない人がいて!」って、質問じゃなく怒り出す人が絶対いる(笑)。だから、ゴミの話をできる受け皿があったら、それもまたゴミを減らすアクションにつながると思います。

 

――自分も今思いっきりストロー使ってましたけど、滝沢さんと話して止めようって思いました。

滝沢 やっぱり、一人ひとりの力ってめちゃめちゃすごいですよ。だからこそ、それが積み重なると暴力にもなる。なんとなく毎日買ってるペットボトルを水筒に変えるだけで、お財布にも地球にも優しいアクションになります。

 僕は、10年前にちょっと無理して5000円で買った水筒をいまだに毎日使ってます。アンティークものになってますけど、高いものを買うとそう簡単に捨てられないんですよ。

なぜゴミ清掃員として現場に出続けるのか

――下世話な話ですけど、お金的な話でいえば、滝沢さんはもうゴミ清掃員の仕事を辞めても問題ないですよね。どうして続けてるんですか。

滝沢 3年前の台風19号で多摩川が氾濫したとき、災害ゴミがめちゃくちゃ出たんです。そのゴミを回収しに行ったんですけど、すごく生臭かったんですよ。箪笥とかにも水が染み込んじゃって、拭いても臭いが取れなくてね。でもこれって、テレビとか週刊誌の報道だけじゃわからなかったことなんですよね。

2019年、台風19号で多摩川が氾濫した際の災害ゴミ 本人提供

――現場に行かなきゃわからないことがあると。

滝沢 講演で環境のことやSDGsのことを話したりするわけですけど、現場で見たことを自分の言葉で伝えないと、誰にも響かないんじゃないかと思ってて。

 今、日本のプラスチックゴミって国内だけじゃ処理しきれなくて発展途上国とかに運ばれてるんです。でも、その発展途上国でも処理コストの問題などもあって、結局、川にドボドボ捨てられてるケースもある。で、それがまた海流に乗って日本に戻ってきてるという嘘みたいな話もあるんです。

 

――因果応報的な話ですね。

滝沢 小説で『おーい でてこーい』という星新一先生の作品があるんですけど、穴の中に入れたら、上からまた同じものが降ってくるんです。今のゴミをめぐる状況ってまさにそれですよね。だから、発展途上国に行って現状を確かめたいと思ってます。

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