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かつて日本でも、「日本スゴイ」系の発言を繰り返す外国人タレントや識者がブームになったことがある。ただ、日本と中国の違いは、この「自国スゴイ」を権力側がかなり意識的におこなっていることだ。
当局の立場から見るなら、中国共産党の政策や中国の国家体制に対する礼賛は、中国人の識者が話すよりも中国の「敵対勢力」である国々の人間の口から発信させたほうが、より説得力が増すのは想像に難くない。
謎のアメリカ人「火鍋大王」、プロパガンダに協力
中国の体制を肯定する言説へのテコ入れで、よく言及されるのが「大外宣」という中国のプロパガンダ政策だ。
これは中国が2009年から開始した、西側諸国に自分たちの意見を受け入れてもらおうとする(=争奪話語権)政策で、中国政府は当時450億元(約9130億円)の予算を投入した。政策は習近平政権でも継続され、2016年にBBCが報じたところでは毎年およそ100億ドル(約1.4兆円)が対外宣伝費に注ぎ込まれているという。
この大外宣には、中国国内の価値観を反映したメディアを国際社会に進出させることや、海外(香港や台湾を含む)の中国語メディアの買収、SNS工作、各種のメディアで影響力を持つ著名人の取り込みなどがある。
ここで対象となる「著名人」には、もちろんネット上のインフルエンサーも含まれている。