看過できない危険な状況も
始まって以来、最大の来場者数と盛り上がりをみせたぎふ信長まつり。しかも、事故もなく終了した。これは大成功だ……。と、言いたいところだが、看過できない危険な状況も発生していた。今後のイベントが安全に行われることを願い、あえて指摘しておきたい。
観覧場所以外は、歩道も脇道も封鎖し、当選者以外の観覧を許さない万全の対策を講じていた。一点のスキがあればそこに人が集中し、群衆事故に繋がるためだ。しかし、行列の開始2時間前、立ち入り禁止エリアの歩道に人が滞留しはじめ、こともあろうに行列が通る北進車線の歩道を、主催者側が当選チケットを持たない人に開放してしまっていたのだ。
現場近くのお祭り会場は多くの人がいた。チケットが無くてもキムタクが見られるという話が広まれば群衆が駆けつける可能性があった。SNSで拡散されれば、行くのを諦めていた人たちまでもが押し寄せていた可能性もある。
主催者側は、「人があふれてきたので安全のために急きょ歩道を開放した」と説明するが、これは容易に想像できる事態であり、それを想定していなかったのであれば、杜撰な警備計画といわざるを得ない。
また、公平性を欠くという点で、現地で一触即発の状況も発生していた。当選者の観覧場所は行列とは反対車線の車道で、行列との間には中央分離帯があり、4車線の幅に人がギッシリ詰め込まれていた。後方にいる人は、当選して長時間並んだのに、「キムタクの顔どころか髪の先さえ全く見られない……」という人もいた。さらに、行列通過後は規制退場となるため、場所によっては最大1時間程度、現地で足止めされた。
かたやチケットを持たない人たちに開放された歩道はというと、行列との間に低い柵があるだけで、キムタクとの距離もはるかに近く、どこからでも楽に行列が見えた。退場規制もないため、行列通過後の移動も自由で、行列を追いかけたり、すぐに駅に向かうことも可能だった。
64倍の確率を勝ち抜き、早朝から並んだ人たちよりも、落選したにも関わらず現地に押し掛けた人たちのほうが、はるかに良い条件で観覧できたというわけだ。正直者が馬鹿を見る結果に、観覧席から不満が爆発して怒声が飛び交う場面や、観覧席の柵が複数の観客とともに倒れる場面もあった。