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混乱が起こらなかった一番の要因は“観覧客のモラル”
群衆警備において、群衆が不満を抱くことはとても危険で、避けなければいけない。過去には、群衆の不満をきっかけに群集事故に発展した横浜公園事故の事例もある。こうした意味においても、本来避けるべき危険な対応をしたといえるだろう。
観覧席から反対側の歩道へ移動する人が続出すれば混乱は必至で、そうならなかったのは、観覧席にいた人たちがモラルを守った結果だ。今後、抽選制のイベントがあっても「落選しても押し掛ければ見られる」と考える市民は多くなるだろう。悪しき前例を作ってしまった。
また、行列を待つ間、観覧者に対する説明も充分だったとは言い難い。1人のスタッフが複数のエリアを歩きながら説明するのみで、話している内容の一部分しか聞き取れないという状況だったのだ。結果として、禁止されている自撮り棒や踏み台を使う人が現れ、それに対する注意も行われていなかった。
会場と駅の間の動線は、過剰ともいえるほど万全な対策がなされていたが、会場内の対策は問題点が目立った。事故もなく無事に終えることができたのは、運が良かったからだろう。岐阜が大いに盛り上がったキムタク信長まつり。盛り上がりに水をささないためにも、こうした教訓をぜひ今後に活かしてほしい。