3市町が縦に…つまり「ジェット・ストリーム・アタック」!
──どんな問題ですか?
山形 豊富町は人口約3,700人の小さな町です。全国的な知名度が弱いので、町単独でマンホールを設置しても発信力が弱く、事業展開しにくいという懸念がありました。
──確かに、道外の人には「北海道の豊富町」といわれても、どこにあるかわからないかもしれませんね。
山形 はい。これは近隣自治体とチームを組むしかないと思い、すでにポケふたを設置し、マンホールカードを配布していた、稚内市(わっかないし)さんと天塩町(てしおちょう)さんにお声がけしました。
──2市町はすぐに乗ってきたんですか?
山形 ええ。「一緒にやりますよ!」と二つ返事をいただき、3市町合同プロジェクトとなりました。
それをバンダイナムコさんに話すと、「3市町、トリオ……つまり『ジェット・ストリーム・アタック』!? ドムですね!」と大いに盛り上がりまして。
──ここで、ドムにつながるんですね。
山形 そうなんです。地図で見るとこの3市町は、日本海に面して縦に並んでいます。これも「ジェット・ストリーム・アタック」の直列時間差攻撃を彷彿とさせるんですよ。そこで、「豊富、稚内、天塩の3市町に2枚ずつマンホールを設置、絵柄はガンダムとドムを希望」と決まりました。
ガンダムと道北をつなぐ「Nフィールド」
──なるほど。ガンダムと道北のストーリーができあがりましたね。
山形 いえ、まだなんです。ドムだけでなく、ガンダムと道北の紐づけも必要で。
そこで思いついたのが、豊富、稚内、天塩の3市町に拡がる、広大な牧草地帯やサロベツ原野です。
3市町共通の重要な産業が酪農です。特に豊富町は年間平均気温が5~6℃と涼しく、牧草栽培に向いています。豊富牛乳はセイコーマート(北海道を中心に展開するコンビニチェーン)などと契約して全国発売していますし、道北の公立小中高の給食牛乳も豊富町産です。
また、サロベツ原野は稚内市から豊富町、さらに南の幌延町(ほろのべちょう)にまたがる2万ha超の原野で、中心のサロベツ湿原は日本3大湿原のひとつです。
そこで私は、道北が誇る湿原や牧草地帯が、初代ガンダムに登場する「Nフィールド」を彷彿させるのではと考えました。
町職員が考えた「奇想天外なガンダム設定」
──「Nフィールド」というのは、『機動戦士ガンダム』の激戦地、ア・バオア・クーで登場する言葉ですね。
山形 はい。マニアックな話ですが、ア・バオア・クーは『機動戦士ガンダム』の敵方・ジオン公国の巨大な宇宙要塞です。その上部を東西南北の北(North)として、「Nフィールド」と呼んでいました。ここに地球連邦軍のモビルスーツが降下し、最後の死闘を繰り広げます。初代ガンダムを語るときに欠かせない場面です。
そこで、ダメ元ながら私が、ガンダムとドムと道北を結びつけるストーリーをつくり、提案させていただきました。以下の内容です。