フードファイターから引退…今後の展望は?
――現在は、「OTEMOTOプロジェクト」という新しいプロジェクトを掲げています。
ロシアン 「すべての人に幸福な食卓を」というのがOTEMOTOの大きなスローガンです。私は昨年、フードファイターの引退宣言をしたのですが、これからやりたいことや自分の人生は何を指針にして生きていくのか――ということがわかったから、引退を表明しました。ようやく今まで私がやってきたことが何だったのか、それを言語化できるようになったというか。
お料理を作ってくださる方たちも、1次産業に関わってくださる方たちも、自分たちの作っているものに対して愛情、プライドを持っている。そういう思いを、SNSをはじめ今の伝え方に合った形で伝え、「大切に食べよう」と思う人が1人でも増える循環を作りたい。私自身、食のおかげで今があります。「食」を通じて、その恩返しがしたいんですね。
「つわりのひどい妊婦さんも視聴してくださって…」
――フードファイターの皆さんって、大食いをするからこそ、食への姿勢が真摯というイメージを受けます。そういう方々にしかできない食の発信があるような気がします。
ロシアン ファンの方に支えていただいている『おなかがすいたらMONSTER!』という大きなチャンネルを持つ今の環境は、とてもありがたいこと。ただ、そこに甘んじるのではなく、今いるファンの方たちがより日々のご飯を楽しめるようになるなどネクストステップに踏み出していかないといけないと思っています。
病気で食事制限がある方や、つわりのひどい妊婦さんなどが視聴してくださって、「食べてくれて元気が出た」といったメッセージをありがたいことにいただくこともあるんですね。私のチャンネルって、女性の視聴者がとても多い。私が作っているものが、ほんの少しでも生きるための支えになるという方がいる以上、適当にやっちゃいけないって、すごく感じます。
――大食いって、ものすごく「生命力」を感じるコンテンツだと思います。だから、ずっと人気なんでしょうね。
ロシアン 先ほど群雄割拠って言いましたけど、それだけそれぞれのチャンネルが成長しているということですよね。同じパイを持っているものとしては脅威でもあるんですけど、同時にすごく喜ばしいことで、大食いがそれだけ支持されているジャンルなんだなって思うんです。
「好きだな」と思ってもらえる普遍的なコンテンツですから、私自身、その意味を考えていきたいです。大食いは、第6世代、第7世代と新しい世代が登場しているけど、その子たちもおいしいご飯をいっぱい食べて、食の魅力を伝え続けてほしいなって……なんだかお母さんみたい(笑)。私も、その1人であり続けたいですね。
写真撮影=釜谷洋史/文藝春秋
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