深夜って出演者が少ないから、わがままが利くんですよ。でも、ゴールデンとか大きな番組になると人数が多くなるから、こちらの勝手なんて聞いてくれなくなると思うんです。
西澤 そういう、自分を守る工夫はすごく大事だと思います。今回の取材でも、キャラをテレビによって徐々に作られていって悩んだとおっしゃってた方がいらっしゃったので。テレビが作ったキャラクターに、自分が食われていく、みたいな。
能町 わかります。だから、新しい芸人さんが出てくると勝手に親心になって心配しちゃいますね。バラエティにこの人をどう適応させていくんだろう、嫌な感じにならないといいなって。
西澤 本当に。良い変化だと思うのは、若手の芸人さんにインタビューをすると、テレビオンリーで考えていない人が多いことです。テレビに対する憧れみたいなものがあまりない。
ネットの影響や、先輩たちが劇場でちゃんとやっていれば食っていけるというのを証明してきたからだと思うのですが、劇場で輝く人は劇場、YouTubeで輝く人はYouTube……とみんな自分が輝ける場所を自分で選んでいるというか。たとえばひな壇で変ないじり方をされてうまく答えられなくて沈んじゃうぐらいだったら、最初からその道は選ばないって方もいます。
「運命の2人」…ときどき現れる“ヨネダ2000”タイプ
能町 私の中で、女性コンビの中でもすごく好きなタイプがあって。芸人さんって「自分がおもしろいと思うことをやる」って言い方をすることがあると思うんですが、本当にそれを突き詰めた女性コンビが時々出現すると思ってるんです。
『女芸人の壁』で出てくるコンビでいうと、日本エレキテル連合。あとはすごくさかのぼりますけど、メンバメイコボルスミ11、少年少女。Dr.ハインリッヒもそうだし、最近だとヨネダ2000もそうだと思います。2人の絆が、「運命の2人!」というくらい強くて、やっていることもオリジナリティがありすぎるっていう。あの感じって、男性芸人だとあまりいないと思うんですよね。
西澤 ああ。「最近はこういうのがウケる」とか、そういう頭は全くなくて、2人がおもしろければいい、みたいなタイプ。
能町 そうそう、2人で高め合ってる、みたいな。だから、M-1で優勝、みたいな方向ではあまりなくなっちゃうんですけど、ハマる人にはメチャクチャハマるんです。
西澤 私、男性コンビでは千鳥にそれを感じてました。ノブは大悟を、大悟はノブを笑わせたいっていうのでやってきて、東京に来てもそれをやってたんだけど、なかなか笑ってもらえない、苦しい時期が続いて。でも、だんだん2人の「おもしろい」に周りがついてきたっていう。ヨネダ2000とかも、本当にそういう感じですよね。
能町 そうですね。YouTubeとかすごいですもん。 あの2人にしか分からない。
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