もはや2人に迷いなどなかった。閉塞したこの環境から解放されたい一心で、すぐに銃と弾薬をオーダー。しかし、もしこんな買い物をしたことが両親にバレてしまったら、すぐに取り上げられてしまうだろう。そうなると、計画が台無しになるばかりか、どんなひどいお仕置きが待っているかわからない。
それでも、もうオーダーは成立してしまった。グズグズしてはいられない。
2人は話し合った末、荷物が届くよりも前に計画を実行するのがベストであると判断した。
「よし。決行日は、荷物の到着予定日の前日、7月22日にしよう――」
一家を襲ったその夜の惨劇
「パソコンで面白いものを見せてあげるからおいでよ」
午後11時。マイケルはまず、13歳の長女クリスタルをそう言って自室に招き入れた。
そして、何も知らずに部屋に入ってきたクリスタルの背後からロバートが口を塞ぎ、用意していたナイフで手早く喉を搔き切る。クリスタルが断末魔のような悲鳴をあげたことに慌て、さらに念を入れて、腹部と両腕にもナイフを突き立てる。
これだけ傷つけられても、クリスタルはまだ死なない。これは2人にとって想定外のことだった。
最後の力を振り絞って抵抗するクリスタルに2人が手こずっていると、物音に気づいた母親のエイプリルが、「どうしたの?」と部屋に飛び込んできた。
するとロバートは矛先を母親に向け、迷うことなく頭や首、腕、胴体を滅多刺しにする。後の検視では、エイプリルの体には実に48ケ所の傷跡が残されていたというから、2人の興奮ぶりが窺える。
母親の死を確認した2人は次の獲物を探そうと周囲に目をやった。そこで、あることに気がついた。虫の息であったはずのクリスタルがいない。――家の中にけたたましい警報音が鳴り響いたのはその時だった。
マイケルが慌てて外へ飛び出すと、どうにか家から脱出しようともがくクリスタルの姿があった。彼女を室内に引きずり込んだマイケルは、首を絞め上げる。
一方、ロバートはその時、突然の警報に混乱して室内を徘徊していた父親のデイビッドを見つけ、その胸に力一杯ナイフを突き立てていた。
膝から崩れ落ちながらデイビッドは、「お前は、なぜこんなことをするんだ?」と、絶望した表情で彼に問いかけた。
その質問に対してロバートはこう答えたという。
「そうしなければいけないからだよ」
崩れ落ちる父親を尻目に、ロバートはマイケルと合流すると、ほかの弟妹たちの居場所を探して回ることにした。