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人知れず募らせた無差別殺人への興味

 デイビッドとエイプリル、ベバー夫妻のもとには7人の子供がいた。

 事件発生時の年齢で、18歳の長男ロバート、16歳の次男マイケル。そして13歳の長女クリスタル、12歳の三男ダニエル、7歳の四男クリストファー、5歳の次女ビクトリア、2歳の三女オウタム。

 両親は子供たちを学校には通わせず、アメリカで認められているホームスクーリング制度を利用しながら家庭内で教育し、常に自分たちの目の届く範囲に置いていた。子供たちには日頃から、「外の世界は危害を加える人たちが大勢いて危ない。だから家の敷地から出てはいけないよ」と言い聞かせていたという。

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 そんな教えを子供たちもよく聞いていたようで、たまに隣家の子供がベバー家の子供たちに外から声をかけるようなことがあると、皆、黙ったままそそくさと家の中に閉じこもってしまうのが常だった。

 そうかといって、ベバー家の子供たちにとって、家庭が安住の地であったわけではない。両親は子供たちに対し、日常的な虐待を繰り返していたからだ。

 つまり子供たちは、家の中にも外にも安息のない、閉ざされた生活を強いられていたのである。

 そうした異質な生活の中で、ほかの弟妹たちより一足先に思春期を迎えた長男のロバートと次男のマイケルは、いつしか過激な妄想に駆られるようになる。

 ロバート15歳、マイケル13歳の時。彼らは「殺人」に強い興味を持つようになっていた。

 1999年に起きたコロンバイン高校の銃乱射事件や、2012年にコロラド州オーロラ市でおきた銃乱射事件などは、彼らの関心を助長する悪しき手本となり、それらのニュースを食い入るように見つめるうち、2人は無差別殺人やシリアルキラーを崇拝するような感情を抱くようになったのだ。

 もし、彼らのように銃を乱射して家族を一掃できれば、開かれた自由な生活が手に入るかもしれない。両親の言うように、外の世界が危険に満ちていたとしても、銃さえあればどうとでもなるだろう。

 そう考え始めた2人が、インターネットで銃や弾薬を購入できることを知ったのは、2015年6月のことだった。