「『アキバくんが悪い女に引っかかっている!』みたいに言わないで(笑)」“コンカフェの街”へと変わる秋葉原をそれでも桃井はるこさんが応援する理由
桃井はるこさんインタビュー#3
――オタクいじりはまだまだひどかったですよね。今だと考えられない。そして一方で、オタクの一部もかなりドギツいノリだった印象もあるんです。
桃井 それはありますね。オタクに限らず、人が集まるとどんな集団でも一定数そういう人は出てきますから、しょうがないことなのかなと思っていました。そのころからですかね。「秋葉原は変わった」「秋葉原はつまらなくなった」とよく言われるようになったのは。でももう、ずっと言われ続けていて、じゃあ、一番面白かった秋葉原っていつなんだよ! と、私はずっと思い続けています。秋葉原にいつも行く、秋葉原が好きな人ほど、「最近秋葉原がつまらなくなったよな」と言いがちだったりもするのですが、「秋葉原じゃなくて、お前がつまらなくなったんだろ!」みたいな(笑)。
――自分もしばしばそう考えてしまうので、耳が痛いです……。しかし、率直なところ、桃井さんご自身はどうお考えですか? つまらなくなったは言い過ぎにしても、集まる人の雰囲気が変わったり、来る人の求めているものが変わったり、そもそもお店も入れ替わったり、いろいろと変化はありそうですが。
桃井 私にとっては今も楽しい街ですし、変わらず思い入れがあります。昔から、秋葉原のことは「幼馴染のアキバくん」だと思っているんですよ。
――擬人化ですか。家族ではなく、幼馴染なんですね。
「私の幼馴染のアキバくんの9歳と14歳の時期はいつなんだろう?」
桃井 私は近所にはいるものの、秋葉原に住んでいるわけではないので、そのくらいの距離感ですね。アキバくんは、最初はイケてなくて一緒にゲームとかして遊んでいたのに、『電車男』ブームのときにすごい人気者になってしまった。そのころは「私は昔からアキバくんの良さを知っていたけどね!」みたいな気持ちになって、今はお互いもうちょっと大人になって、「最近アキバくんが元気ないって噂を聞くけど、大丈夫かな……」みたいに、距離をとりながらも心配している感じ。駅前や中央通りを歩くと、空き店舗や空きビルが多くてビビるのは確かなんです。中学生のころなんて、どこかのお店がなくなると、すぐに跡地に次のお店が入って、絶対に空き店舗なんてなかったのに。空きビルが多いのは、一棟貸ししかしないビルが多いことも原因らしいので、単純に寂れたとはいえないんですが、ともあれ街の見た目がちょっと寂しいことは、寂しいですよね。「どうなってしまうんだ!」と思うこともあります。ただ、高校生のころ、パソコン通信で誰かが書いていた、信用している言葉があるんです。
――どんな言葉ですか?
桃井 「人間は結局、9歳と14歳のときに出会ったもの、ハマったものに戻ってくる」。そういう法則があるんだとか。自分のことを振り返ってもそうなんですよね。9歳のときに出会った野球観戦と、14歳で出会ったカラオケというか、歌うこと。どちらも今、あらためて楽しんでいます。そう考えると、私の幼馴染のアキバくんの9歳と14歳の時期はいつなんだろう? と。