2022年12月6日、名古屋市中区のホテルで女子大学生(20)の遺体が発見された。殺人の疑いで逮捕されたのは福島県在住の女(39)と愛知県安城市の男(48)、兵庫県在住の女子大学生(18)の3人。4人はSNSで集団自殺をするために知り合ったとも言われている。

 インターネットを介して見知らぬ者たちが集団自殺をすることは「ネット心中」「ネット自殺」と呼ばれ、いまから約20年前、2003年以降に連鎖した。

 当時の取材をもとにふりかえってみたい。

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空室のアパートで練炭を使い

 最初に広く報じられたのは03年2月11日の事件だ。埼玉県入間市下藤沢のアパート内で、近くの無職男性(26。年齢は当時、以下同)と千葉県船橋市の無職女性(24)、川崎市の無職女性(22)の3人が室内で死亡しているのが発見された。アパートは2、3年前から空き室で、3人がいた南東の6畳和室には練炭入りの七輪が4個置かれ、ガラス戸には粘着テープで目張りがしてあった。

 現場は西武池袋線・武蔵藤沢駅から徒歩10分ほどの新興の住宅街。当時は、建設中のアパートも多かった。集団自殺後、私が現場を訪れると、周辺は区画整理がなされている最中だった。

 死因は一酸化炭素による中毒死で、3人は川の字になって亡くなっていた。遺体のそばには睡眠薬や化粧道具、チョコレート、スキー用のゴーグルが置かれていた。また、救助活動を見ていた近所の人の証言では、「七輪は予備のものが13個あった」という。

 この遺体を発見して、119番通報をしたのは栃木県に住む女子高生(17)だった。この年の1月上旬、死亡した3人ともに、今回の現場の下見をしていた。また同月中旬、自殺した3人と女子高生を含む4、5人で、東京・渋谷駅近くで待ち合わせをして、喫茶店で話をしたり、カラオケ店で遊び、いつ自殺するかなどを話し合った。「男性がインターネットで、この部屋で自殺する人を募っていた。男性との連絡が途絶えたため心配になった」と警察に供述した。