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千尋役の合格に「宮崎駿監督の作品だよ!?」と事務所が大騒ぎ

――いまの柊さんの千尋のセリフが、映画のままで感動しています……。

 え、本当ですか? 嬉しい!

――オーディションのときに意識したことはありますか?

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 特に意識したことはなかったですね。というのも、先ほども言ったようにオーディションの時点ではストーリーが全然わからなかったので。

 わかっていたのは、千尋のお父さんとお母さんが豚になってしまったあとの「夢だ夢だ!! 覚めろ覚めろ!!」「あぁ、透けてる!!」というセリフくらい。それを参考に自分なりに演じたら、ありがたいことに合格をいただいた、という感じです。

『千と千尋の神隠し』より。千尋のお父さんとお母さんが豚になってしまった衝撃的なシーン

――柊さん自身はジブリをあまり知らなくても、受かったときの周りの反応はすごかったのでは?

 実は、私だけじゃなくて母もエンタメ系の話題には疎いんですよ。だから受かったことを家族に報告しても「へえ、よかったね」という感じで。

 でも、事務所では「ジブリだよ!? 宮崎駿監督の作品だよ!?」と大騒ぎをしていたので、その反応を見て少しずつ「すごいことなんだ」と実感しましたね。

『千と千尋の神隠し』より

アフレコでは朝から夜まで喋りっぱなし

――合格後、アフレコはどのように進んでいったのでしょう。

 アフレコ自体はトータルで1週間くらいで、映画を前半と後半にわけて録音しました。朝スタジオに入ってから夜までほぼ喋りっぱなしのときもありましたね。

 アフレコ中はお茶を飲んだり、お昼を食べたりする休憩はありましたけど、待ち時間とかはほとんどなくて。合間に共演者と雑談する、みたいな時間もほぼなかったんですよ。私が一番セリフの多い役だったからかもしれませんけど。

©文藝春秋

――当時は中学1年生ですよね。慣れない環境で、しかも初挑戦の声優のお仕事をこなすのは大変ではなかったですか?

 当時は大変とかしんどいとかは全然思わなかったですね。純粋に演技が好きだったので。ただ、いま振り返ってみると「学校に行きながら仕事もして、頑張っていたな」とは思いますね。

 それに雑談の時間はほぼなかったけど、アフレコの現場自体はとても和やかな雰囲気だったんです。だから「つらい」とは思わなかったのかも。

――アフレコの現場には、宮崎駿監督も来ていたのでしょうか?