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 宮崎監督も参加してくださっていました。こういう取材を受けると、よく「監督は厳しかったですか?」と聞かれるんですけど、当時の私には“優しいおじいちゃん”というイメージでしたね。

 宮崎監督は、いつもホワーンとした雰囲気なんです。現場での指示は基本的に音響監督さんがしてくれるんですけど、監督自ら伝えてくださることもあって。そういうときは、厳しい感じではなく、場を和ませるようにわざと面白おかしく話してくれるんです。

©文藝春秋

アフレコ中に宮崎駿監督のお腹の音がスタジオに響いて…

――監督からはどんなアドバイスがあったのでしょう。

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 事前に「千尋はお父さんとお母さん、そしてハクを助けたい。そのために頑張っている女の子なんだよ」と話していただいたくらいです。だから「頑張っているところを表現しよう」「必死さを出そう」とは思っていました。

 ただ、台本を読んだときから「千尋のどんくさいところが私に似ているな」って感じていたので、基本的には自然体でアフレコしていましたね(笑)。

『千と千尋の神隠し』より

――監督からNGが出ることは?

 ありましたけど、そんなに多くはなかったです。そういえば、アフレコ中に監督のお腹が鳴って、その音がスタジオに響いてNGが出たことがあるんですよ。

 私が、小腹が空いたとき用の「ぐーぴたっ」というお菓子をスタジオに持ち込んでいたので、監督に1つ差し上げたら照れくさそうに喜んでくれました(笑)。

 他にも、映画の中で「えんがちょ」という言葉が出てくるんですけど、私がそもそもその言葉を知らなくて、うまく演技ができずにNGになったんです。それで監督が「えんがちょ」の意味とやり方を教えてくれて。「今の子は『えんがちょ』を知らないの!?」とショックを受けていたのが印象的でした。

『千と千尋の神隠し』より。「えんがちょ」というセリフは釜爺(菅原文太)が発した名セリフだ

――想像以上に和やかな現場だったのですね。

 制作現場はわからないですけどね。少なくとも、アフレコ中は穏やかな監督の姿しか見ていません。私が子どもだからではなく、他の共演者に対してもそうだったと思います。

――アフレコの中で印象に残っているシーンはありますか?

 印象に残っている、とは少し違うかもしれないですけど、最初に台本を読んだときに、千尋のセリフを見てびっくりしましたね。「……」とか「!!!」、「???」みたいな記号のオンパレードで。「どうやって声だけで表現したらいいんだろう」と悩みました。

――実際にはどのように表現を?