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「昔は湯婆婆が怖かったけど、今は共感しています」35歳になった千尋役・柊瑠美が出産後に『千と千尋』を観て“気づいたこと”

「昔は湯婆婆が怖かったけど、今は共感しています」35歳になった千尋役・柊瑠美が出産後に『千と千尋』を観て“気づいたこと”

柊瑠美さんインタビュー #3

2023/01/06
note

――それまでは落ち続けていたのに、『すずらん』のオーディションで受かった理由はなんだったと思いますか。

 開き直ったからだと思います。「どうせ落ちるからいいや!」と思っていたから、緊張せずに素のままでできたのかなって。これまでを振り返っても、良い結果が残せたときはだいたい開き直っているときというか、緊張していないときなんですよね。

 2009年から4年間務めた『ニャンちゅうワールド放送局』(NHK Eテレ)のおねえさん役に抜擢されたときもそうでした。『ニャンちゅう』でもオーディションがあったのですが、それが「魔女の格好で演技をする」「絵描き歌を歌う」という2つの内容だったんです。

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 私は歌も絵も特別うまいわけじゃないから、絵描き歌を歌うときは「うまい人が受かるんだろうな。じゃあ私は楽しくやればいいか」と開き直って。魔女の演技では、他の方たちがかわいい魔女を演じる中、私はグリム童話とかに出てきそうな怖い魔女をやったんですよ。「いっひっひ、うさぎの毛を刈ってうさぎ汁を作ってやったぜ〜」みたいな。

 そしたら後日、合格の連絡をいただいて。しかも、満場一致だったらしいです(笑)。

©文藝春秋

『野ブタ。をプロデュース』出演中に食事が喉を通らなかったワケ

――『すずらん』のオーディションの合格は、柊さんのターニングポイントになったんですね。

 そうですね。もし受かっていなかったら、きっと今こうやって取材を受けることもなかったですから。そして、合格して芸能活動を続けてきたからこそ、『千と千尋』という代表作にも出合えました。

――『千と千尋』の4年後には、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)でいじめっ子役を演じていましたね。

 いじめっ子の役を演じるのは本当にしんどかったです。思わず耳を塞ぎたくなるようなセリフが多くて、ストレスで一時期ごはんも食べられなくなってしまって。

――それはどうやって乗り越えたのでしょうか。