「パキポディウム グラキリス」「オペルクリカリア パキプス」――なるものが流行っている。
『ポプテピピック』の派生マンガでもなければ、ナメック語で願いを叶えようというわけでもない。これらはコーデックスと呼ばれる塊根(かいこん)植物の種類で、いま30代半ばから40代の男性を中心に人気を博しているという。
高いものでは数十万円にも上る塊根植物。なぜ話題を呼んでいるのか? そこには思わぬ理由が潜んでいた。
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“こ、これが税込246400円ッ!? サッカーボールより少し小さいくらいのこの植物が、なんでそんなにするの……”
目の前のパキポディウム グラキリス(以下、グラキリス)を見た、筆者の素直な心境である。
念のためもう一度伝えておこう。こちらのグラキリスのお値段、246400円である。
たしかに、独特なフォルムに魅せられ、「部屋にあったらいいな」と購買意欲は掻き立てられる。しかし、鉢込みとは言え、一植物がデロンギのコーヒーメーカーよりも高いというのは、いささか理解に苦しむ。
筆者と同じように「高すぎでは?」と感じる人は少なくないだろう。ところが、こうした塊根植物は男性を中心に人気を集め、昨年は、新宿伊勢丹本館でイベントを開催するほどの人気というから驚きだ。
数年前からじわじわ人気が
「7年ほど前からじわじわ人気が出始め、ここ2~3年で拡大している印象です。コロナ禍によって在宅時間が多くなり、自宅用にお洒落な観葉植物などを探している中で、塊根植物の存在を知るという方も多いです」
そう話すのは、原宿にある塊根植物などを扱う完全予約制の専門店「RAFLUM(ラフラム)」の代表取締役・小寺信仁さん。「RAFLUM」は、先の新宿伊勢丹本館に加え、阪急うめだ本店のポップアップイベント「GREEN AGE」にもブース出店する人気店だ。
特筆すべきは、「Patagonia」「THE NORTH FACE」といった有名ブランドも出店する全ブースの中で、「RAFLUM」は来客数、売上げともにナンバーワンを記録した――というから、その人気、ホンモノである。こうした背景から、「塊根植物はテレビやカルチャー・ライフスタイル誌、人気YouTuberなどからも取り上げられる機会が増えている」と小寺さんは話す。
塊根植物にハマったわけ
それにしても、なぜこれほどまでに人気なのか? 最近、塊根植物にハマったというAさんに話を聞いてみた。
「見た目のかっこ良さや、今まで見たことがない容姿に魅力を感じて購入したのがきっかけでした。自分で育成していく中で、同じ樹形の株が2つとないことや、毎日の日課の中で植物のコンディションを見ながらその植物にあった育て方を模索していく楽しさも魅力的なんです」