亡くなる2日前の10月3日には、複数あるTwitterアカウントの一つから、有名なYouTuberのアカウントに、
〈突然ですが、最近自殺したいなぁと思うようになってしまいました(…略…)学校の学生会で過剰タスクであったり学校の課題もテスト前で多く精神的に追い詰められているのかもしれません(…略…)正直、私の精神的にそろそろ限界です。周りのことを考える余裕が無いです。そのままだと本当に自殺を選びそうです〉
などとDMをしていた。返事はなかった。
学生会長名でハラスメント被害を訴えていた
こうした痕跡を見た父親は、学校に対して「早く調べてほしい」と早期の調査を要望した。小中高生が自殺した場合、文科省の「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(改訂版)」に基づいて、調査される。しかし、高専にはそうした規定はない。そのため、学校が独自に「基本調査」をした上で、20年12月に内容を遺族に示した。
東京高専の学生会では、いくつかの問題が重なっていた。
一つは、アカハラの被害があったことだ。20年6月、亡くなる4ヶ月前、野村さんは学生会の会長名で「アカハラの被害申請およびアカハラの再発防止に関する申入書」(6月14日付け)を校長に提出していた。その内容の一部を紹介すると、以下の通りだ。
〈学生会役員の全会一致で決定した文化祭の運営方針に対する事項について「暴走」などと揶揄し「資料作成すると信用が落ちる」など、脅しとも取れる内容を学生会役員へソーシャル・ネットワーキング・サービス(LINE)を通じて令和2年6月13日13時08分ごろに送信し、M講師から議決内容を変えろとの圧力を感じました〉
なぜハラスメントとされる発言があったのか。報告書によると、学校側は同年12月にまとめた「基本調査」でも、この点に触れている。文化祭実行委の講師によるハラスメントともとれる発端は、コロナ禍での文化祭開催について話し合っている最中だった、とした。当時、都立高校や他の高専で文化祭を中止する発表が出始めていた。それを踏まえ、学生会は中止の意向を示した。