1ページ目から読む
2/4ページ目

「痩せねば…」食べ盛りの10代に止めたモノ

――ところが、モデルの世界に入ったら「残すのが当たり前」と。

©文藝春秋 撮影/鈴木七絵

道端 そうです。他のモデルさんたちを見て、そういうものなんだ……と。今思うと、同調圧力のようなものだったのかもしれませんが、15歳の私は素直に従うようになりました。

――では、モデル時代はずっと「痩せていなければ」という強迫観念がありましたか。

ADVERTISEMENT

道端 ありました。いつもそう思っていましたし、ダイエットは何度もやりました。

©文藝春秋 撮影/鈴木七絵

 実家では母のモデル教育のおかげで、お菓子禁止だったんですよ。それがずっとストレスだった15歳女子が、栄養について何も知識がないまま、東京で一人暮らしを始めたんです。どうなると思います?

――食べますね。

道端 一人暮らしがあまりにもうれしすぎて、チョコパイとかいろんなお菓子を食べまくってたんですよ。そしたらやっぱり、どんどん丸顔になって、事務所に怒られて。

 ……それで、本当に私はバカだったんですけど、お菓子を食べるために、ごはんをやめたんです。

お菓子に置き換えればOKと思っていた

――ごはん断ち、ですか?

道端 はい。お米のごはんを抜くのではなく、普通の食事自体をやめたんです。カロリーオーバーしないように食事自体を摂らず、お菓子だけで生活すればいいんだ、と思って。ひどいですよね (笑)。

YouTube『道端カレンのフィットネスチャンネル』より

――「ごはんをお菓子に置き換えダイエット」的な?

道端 当時は、置き換えたつもりでした。それで体重は少し落ちたんですよ。今思うと、運動してないから筋肉が落ちて、そこに脂肪がのった、ずん胴の少女体型だったと思います。

 でも服は入るので、仕事はできたんです。そうやって不健康な食生活のまま、でも「体型は変わらないからOK」と思っていました。

「ハンガーのように」痩せていなければ仕事が来ない

――当時のカレンさんは専業モデルなので、服に自分を合わせる仕事ですよね。

©文藝春秋 撮影/鈴木七絵

道端 そうです。特にスチールの仕事のほうが、体のラインにシビアでした。

 私がデビューした頃はまだアナログ撮影だったので、最初にポラロイドカメラでテストカットを撮るんです。だけど、ポラは体がふわっとぼやけて見えるんですよ。

――デジタル機材が出てきたのは2000年前後でしたね。当時は写真修正にもかなりの費用と手間がかかるので、今のように気軽にできませんでした。

道端 特に白の背景でポラを撮ると、体が膨張して見えやすいんです。でも、ポラの時点で「太ったな」と思われると、次の仕事には絶対に呼ばれない。

 だから、「モデルがハンガーのように痩せていれば、服を綺麗に見せられる」という空気はあったと思います。

妊娠で「あぁ、これで自由に食べられる!」

――それが変わったきっかけは?

©文藝春秋 撮影/鈴木七絵

道端 24歳で妊娠したときです。「モデルだから痩せていなければ、でも食事制限はリバウンドがきて辛い、いつまでこんな生活を続けるのか……」と思っていた頃でした。だから正直なところ、妊娠はすごくうれしかったです。

――子どもができた喜びだけじゃなく、「これで自由に食べられる」という?

道端 そうなんです。仕事を10カ月ほど休んだので、「自由に食べられるのは、本当に幸せだな」としみじみ思いました。