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モデルの世界は「表現力だけで勝負。シンプルな世界」

――モデルの仕事はルッキズムに囚われる性質があると思います。カレンさんは、自分がモデルという「商品」として見られることを、どう感じていましたか。

道端 私はむしろ、それが好きでした。オーディションは私の個性やバックグラウンドはまったく考慮されず、表現力だけで勝負する、すごくシンプルな世界です。

©文藝春秋 撮影/鈴木七絵

――ある意味、公平というか。

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道端 そうですね。演技するのに近い感覚かもしれません。モデルとして、いかにそのブランドの服を表現する女性になりきるかに、やりがいと誇りを感じていました。

 だから、モデルは服を表現するひとつの「素材」のようなものです。周囲のスタッフとの共同作業の中で、自分の役割をどこまで全うできるか……ですね。それができないモデルはやっぱり、売れないです。

モデルの矜持「私が着れば、1000円のシャツが1万円に見える」

――プロである以上、期待に応えるのは当たり前? 

©文藝春秋 撮影/鈴木七絵

道端 期待以上の結果を出したいんです。そうすると、次につながるので。

 私は現場に呼ばれたときに、周りのスタッフに「カレンを呼ぶんじゃなかった」と思われるのは、絶対に嫌でした。

 たとえば、通販カタログの仕事で、1000円のTシャツを着るとするじゃないですか。「私が着ることで、1000円のシャツを1万円に見せる、それだけの仕事をして帰るんだ」というプライドは、いつもありました。

40代で“事務仕事”にも初挑戦

――その後、2度の出産を経て30代からタレントに。そして40代に入ったタイミングで独立。これは、カレンさんがやりたいことと、事務所の描く方向にズレが?

©文藝春秋 撮影/鈴木七絵

道端 いえ、トラブルなどはまったくないです。30代の初めに所属した事務所には、社長さんをはじめ、とてもよくしていただきました。こんなにいい事務所はないなと思うくらい。

――それなら、辞めなくてもよかったのでは?

道端 3年前に40代に入り、今後のキャリアアップを考えたときに、商品開発やプロデュースなど、裏方の仕事もやりたいと思ったんです。

 そうなると、マネジメント経験がないのはまずいので、自分自身で把握しながら仕事したいなと。今は会社を設立して、スケジュールからお金の交渉まで、私がやっています。

――今回の取材が決まるまでも、全てカレンさんと直接のやりとりで驚きました。

©文藝春秋 撮影/鈴木七絵

道端 普通の方々は、自分の仕事は自分でやりますよね。私も同じように、自分でやりたかっただけなんです。事務仕事も楽しいので、何でもトライしてみるものだなと思います。