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中国人相手に“1ヶ月で200万円”稼いだことも…日本人デリヘル嬢が明かした「夜の爆買い事情」

『ルポ歌舞伎町』 #4

2023/03/11

genre : ライフ, 社会

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新型コロナウイルスの影響で「パパ活」から「裏引き」へ変化

 アユが加入するもうひとつの中国人セックスブローカー一味の長は、新宿にあるデリヘル店に男性スタッフとして働きながら、日本の風俗業界に忍び込んでいる。在籍する女の子たちを裏で一味に引き入れては店を辞め、風俗店を巡業しながらネットワークを築いているという。

 しかし、このチャイニーズドリームを夢見た風俗嬢・パパ活嬢たちが中国人案件に殺到。中国人案件を餌に女の子を釣る日本人スカウトなども登場し、価格は崩壊した。後出の歌舞伎町の風俗嬢・真知子の場合、中国人案件は手取り8万円から2万円まで下落したという。

 さらに、新型コロナウイルスの影響でこの中国人セックスブローカー一味は活動を休止せざるを得ない状況に陥った。そして風俗嬢たちの新たなシノギは客を店に呼ばず、個人的に会って身体を売る「裏引き」へと変わっていった。多くの風俗嬢たちが、「パパ活」と口で言いながら、裏引きでシノギを削っている。

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アメリカから入国拒否されたキャバ嬢も

 この中国人ブローカーは「海外出稼ぎ案件」も取り扱っていた。海外出稼ぎは期間も長く単価も高いため、紹介料も莫大なものになる。

 上海のコールガール、フィリピン・シンガポールのカジノ客相手の売春が主な案件だったというが、上海もフィリピンもシンガポールも観光ビザでの入国なので、もちろん不法就労である。

 リゾートバイトでハワイ(観光ビザで90日以内の滞在が可能)を訪れたキャバ嬢が、2か月も3か月も現地のキャバクラで不法就労した結果、途中でバレるという事例が多発しているように、女性が1人で海外に何か月もいればさすがに怪しまれる。

 実際、アユの周りにはテロリストの彼氏がいるわけでもないのに、アメリカから入国拒否されているキャバ嬢が何人もいるという。そのため、海外出稼ぎ案件は2週間~1か月が一般的だ。

 日本人スカウトで、この海外出稼ぎ案件を扱っているところはかなり限られている。そもそも、歌舞伎町にいるようなスカウトを信用して海外に飛ぼうなどという発想にはならないからだ。

 上海は、客ひとりあたり女の子の手取りは日本と同じく2時間のショートで8万円。上海に1か月滞在したアユの友人は300万円稼いで帰国した。その子は別ルートの紹介であったというが、紹介者は何もせずとも30万円ものバックをもらえる。フィリピンの案件は、カジノに来た日本人や中国人が宿泊している部屋でプレイをする。

 単に性欲発散という目的もあるが、ギャンブルで負けが続いたときにセックスで運を変えるという需要もあるらしい。

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