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 その点、風評被害対策として即効性があるのは、やはりブレイク中の浜焼きだろう。

「海の物ですし、美味しいですからね。若者にも大人気なんですよ」。丸三旅館の管野雄三さんが言う。ガイドの会で最も若い20代のメンバーだ。丸三旅館は昨年の福島県沖地震での損壊が著しく、修繕工事に時間がかかった。今年1月9日にようやく営業を再開できたばかりだ。

 3月10~12日、相馬市の「浜の駅」で行われた浜焼きを取材した。

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 会津磐梯山の麓の猪苗代町から車を2時間運転し、わざわざ浜焼きを食べに来たという60代の夫妻は、「風評被害は必ずあるでしょう。でも、浜焼きの美味しさの方が勝るのではないでしょうか。カガミダイを食べたのですが、本当に美味しかった。私達は処理水の放出には反対です。傷ついた被災地がさらに傷つくのは見ていられません。食べて応援することしか出来ませんが、これからも松川浦に来ます」と話していた。

浜焼きに込めた思いは着実に伝わりつつある

 1時間ほど離れた阿武隈高地の山中から友達同士で訪れた60代の女性も、「美味しいですよね。海の物は、やっぱり海の近くで食べるのが一番。『浜の駅』では今日、料理研究家の栗原はるみさんのふるまいもあったのですが、私達は浜焼きを選びました。だって若旦那達が何度も地震に遭いながら頑張っているんですから」と微笑む。

カレイ。開店から間もなく売り切れた(相馬市、浜の駅松川浦に設営された浜焼きテント)

 若旦那4人が浜焼きに込めた思いは着実に伝わりつつあるのだろう。

「浜焼きは自然の美しさを感じさせる食べ物なので、松川浦の魅力を知ってもらうきっかけになります。復興を引っ張り、風評被害をはねのける起爆剤になるに違いありません」と雄三さんは話す。

 ぜひ、そうあってほしい。

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