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ハジムの考えは、医師らしい視点と自らの経験から組み立てられたものだろう。しかし、彼のもとで野球をするチェコ代表たちは、どんなに気持ちよくいられることか。彼らの喜びを表現する無邪気な顔、私がもらったまっすぐなメッセージ、いずれもこの環境で生まれたものなのだろう。
チェコらしいやり方で、今後もチェコ代表は強くなっていく
白衣姿もさまになっている神経科医のハジム監督。彼のインタビューにあったこんなエピソードも興味深い。
チェコで野球の試合があると、観客は多くてせいぜい数百人。スタジアムの観客席そのものもとても小さい。一方、出場することになったWBCの東京ドームは5万人収容の屋根付き球場。それほど大勢の人がいる空間を、チェコで経験することはまずない。
ハジム監督は、この観衆5万人という環境にも、医学的関心をもって対策を練っていた。彼は代表チームの室内練習の時に、5万人の歓声が収録された音源を流してみた。選手たちはその風変わりなBGMを「大丈夫だよ」と気にしていない様子だったが、3時間の練習を終え、音源を切った時、ハジムは選手たちの体の変化を見逃さなかった。
「無意識に僧帽筋が下がり、身体をゆるめている」
ハジム監督は、「時間がたてば5万人の歓声に慣れることができるのかどうかまだわからない」とインタビューの時点では語っていた。実際に、東京ドームでその答えも得られたにちがいない。こうして、皆と一緒に、一つ一つ確かめながら、チェコらしいやり方で、今後もチェコ代表は強くなっていくことだろう。
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