大好きな野球で味わう苦しみ
チームの結果が出ないと、無力感に苛まれます。「つらい」とか「しんどい」と口に出してしまいそうになる。けれど、大好きな野球で味わう苦しみは、楽しみや喜びに変えることができる。幸せはすぐ近くにある、とも考えられます。
明治から昭和にかけて活動した俳人の種田山頭火は「とんぼがはかなく飛んできて、身の回りを飛び回る。飛べる間は飛べ。やがて飛べなくなるだろう」と詠みました。僕ら人間も同じで、誰にでも寿命がある。いつかは命を閉じます。
それならば、やれる限りはやり続ける、与えられた仕事に命を燃やすべきでしょう。
2019年シーズンにプロ2年目を迎えた清宮幸太郎は、6月下旬から7月にかけて32打席連続無安打という不振に陥りました。表情からは色が失われていき、チームが勝利しても心から喜べないような日々を送っていました。
2軍に降格させてもう一度鍛え直してもらうことも、もちろん考えました。ここで私の脳裏に浮かんだのは、王貞治さんのプロ1年目です。
のちに世界のホームラン王となる王さんは、開幕から26打席連続で快音を響かせることができずにいました。それでも、水原茂監督は王さんを使い続けた。そして、27打席目にホームランを放ったのです。
清宮は間違いなく大物です。日本球界を背負うバッターになるはずです。しかし、まだプロ2年目の20歳(当時)です。躓くことはあるし、いくらでも躓いていい。私にできることは、立ち上がった彼を支え続けることです。
たくさんの情報が溢れる現代社会では、心を迷わされてしまいがちです。自分がすべきことを見失わないためにも、清らかな心を持って正しく生きていきたい。自分のためではなく、自分の周囲の人たちの幸せを少しでもお手伝いできるように。
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