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「羽生マジックの逆転に憧れるのですが…」勝率2位、絶好調の斎藤明日斗五段が明かす“現代将棋の難しさ”

「羽生マジックの逆転に憧れるのですが…」勝率2位、絶好調の斎藤明日斗五段が明かす“現代将棋の難しさ”

斎藤明日斗五段インタビュー #1

2023/04/15
note

永瀬リーダーは、負けたチームメイトへの対応がきつい?

――視聴者の見方としては、永瀬リーダーは、負けたチームメイトへの対応がきついのでは、という声もありましたが。

斎藤 団体戦なので、負けるとしょうがない気がします。むしろ、他のリーダーが柔らかすぎる気もします。勝負の場なので棋士としては自然な空気だと思いますね。相手チームより迫力があったのは確かです(笑)。

――間もなく放映が始まる今年のトーナメントですが、斎藤さんが指名されなかったのは正直なところ意外でした。誰が指名されたかというのは、棋士の間では伝わるものでしょうか。

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斎藤 なんとなく、雰囲気は伝わってきます。今回選ばれたメンバーもドラフト放映以前から知っていました。自分が指名されなかったのは、前回負け過ぎたこともあるので、仕方がないかなと思います。

©橋本篤/文藝春秋

――昇級した順位戦は持ち時間が、2日制を除くと最長の6時間で、対してABEMAトーナメントのフィッシャールールは極限の早指しです。適性の違いなどは感じますか。

斎藤 自分にフィッシャーは向いていない気がします。プロからすると将棋の指し手は、基本的に第一感が最善手であることが多い。ところがフィッシャールールで迷うと、最後に見えた手を指してしまうんですね。練習はかなりやったんですが、適応できませんでした。他の早指し棋戦ともまた違います。早指しを苦手だとは思わないのですが、フィッシャーはまた違いますね。

――早指しというと、奨励会員が10秒将棋の練習対局をよく行っていたイメージがあります。

斎藤 僕も10秒将棋はよく指していました。佐々木さん(大地七段)、本田さん(奎五段)、他にその頃の三段が主な相手でしたね。ひたすら指しまくって、その後に相手と夕食に行くという感じです。切れ負け将棋もありましたが、10秒将棋のほうが多かった気がします。