本田奎五段は「雲の上の存在」だった
――本田奎五段の名前が出ました。斎藤さん、本田五段、そして伊藤匠五段は宮田利男八段門下の兄弟弟子として知られています。
斎藤 師匠が三軒茶屋で将棋道場を開いていて、そこに僕が通うようになったのは小学校3年か4年の頃です。僕は最初別のところで指しており、三軒茶屋将棋俱楽部に行ったときはアマ三段くらいの力はありました。もう本田さんと伊藤君の2人とも、道場の常連でしたね。伊藤君はアマ初段か二段くらいでしたが、本田さんは別格で、雲の上という存在です。「この子はすごいんだよ、大人が頭を下げないと相手をしてくれないんだよ」と師匠が言っていたような気がします。
――本田五段と斎藤さんは1学年違い(本田が上)ですが、その頃はお2人とも神奈川県在住だったそうですね。
斎藤 当時の本田さんは、僕のことを視界に入れていなかったと思います。常に小学生大会の神奈川県代表でした。僕が小学5年生の頃ですが、1度だけ県予選の決勝で当たりました。力が違うなと思わされましたね。当時の神奈川は本田さんと川村君(悠人奨励会三段)の2強で、僕はどちらかというと川村君を目標にしていました。彼の右玉を倒せなかった記憶があります。
――本田五段の奨励会入会が2009年、斎藤さんが10年、伊藤五段が13年です。
斎藤 自分が初めて5級に上がったとき、本田さんはもう1級くらいでしたね。ある時にポンポンと昇級できて、初段で追いつきました。そこからは同じくらいの昇段ペースだったと思います。
――奨励会時代、一門の研究会はあったのでしょうか。
斎藤 学校に行っていたこともあるので、一門以外で研究会を行うというのは難しかったでしょうね。本田さんの他、兄弟子の坂井さん(信哉元奨励会三段)、アマ強豪の伊藤大悟さん(第16回準アマ竜王)の4人で研究会を行っていました。おそらく、師匠が紹介してくれたんだと思います。