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現代将棋は序盤でリードして逃げ切りという形でないと…

――宮田八段はどのような師匠ですか。

斎藤 基本的にはダジャレを飛ばしているやさしい師匠ですが、大事なところはしっかり伝えてくれます。奨励会に入る前は直接、将棋を教わりましたが、入ってからは指していないですね。

――研究会の他、奨励会時代の勉強法はどのようなものでしたか。

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斎藤 やはり実戦ですね。ネット将棋が多かったです。あとは自分対自分の1人将棋で、特にヒネリ飛車の研究ばかりやっていました。1人将棋だと手前側をひいきしかねないので、座る場所を順番に変えるということをやっていました。あとはプロ棋士の対局を並べて、新手を探すということが多かったです。

©橋本篤/文藝春秋

――新手というと、藤井猛九段の名前が浮かんできます。

斎藤 藤井システムを思いつくのはすごいですよね。奨励会は特に香落ち(ハンデ戦)の上手があるので、振り飛車を指すのが必須なのですが、香落ちの振り飛車は、自分で戦法を作ったりなど、創作できる感があるので好きでした。基本的には相居飛車における、どこまで深いかという研究勝負が好きではないので、振り飛車を指したい気持ちはあります。

――他に棋譜をよく並べた棋士はいますか。

斎藤 ほとんど羽生先生(善治九段)だけですね。大山先生(康晴十五世名人)と中原先生(誠十六世名人)の棋譜も並べたことはありますが、子どもにはよくわかりませんでした。

――羽生将棋の魅力とは?

斎藤 一番惹かれるのはマジックですね。誰も気づかない手で逆転してしまいます。それに憧れて自分もそういう手を指したいとは思います。ただそれは今の時代に逆行していますね。

――と言いますと……?

斎藤 現代将棋は序盤でリードして逃げ切りという形でないと、なかなか高勝率を挙げるのは難しい。二転三転した将棋を最後にひっくり返すというのが好きなのですが、今はそのような考えでやっている人はいないと思います。その辺りがギャップですね。

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