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「親グマが猛烈なスピードで駆け降りてきて…」「前足が顔面を襲った」奥多摩の山道で起きた“ツキノワグマ遭遇事件”の顛末

『侮るな東京の山 新編奥多摩山岳救助隊日誌』より #3

2023/05/03

genre : ニュース, 社会,

note

クマに出会ってしまったら

 落ち着いて状況をよく判断しましょう。距離はどうですか。クマはあなたに気がついていますか。子グマはいますか?

 もしクマとあなたとのあいだに十分な距離があり、クマも気がついていないときは、すぐにその場から離れましょう。あるいはクマが自分の進行方向とは異なる方向へ移動中の場合は、静かにやり過ごしてもよいかもしれません。

 出会い頭にクマと出会ってしまったら、クマはすぐに攻撃してくるかもしれません。しかし多くの場合、人間を攻撃せず逃げていくようです。もしクマが立ち止まっていたら、あわてて後ろを向いて逃げ出したりせずに、クマに向き合ったままゆっくり後退していくのが有効なようです。決して急激な動作をしてはいけません。

クマが攻撃してきたら

 腹這いになってクマの攻撃をやり過ごす方法もあります。この場合、両手を首筋の後ろでがっしりと組み、またその両ひじで顔面側部を保護します。こうして体の急所をできる限りカバーして、最初の一撃を耐えます。ツキノワグマの攻撃は、ほとんどの例では最初の一撃あるいは数撃で終わり、そのあと人間から逃げていくようです。また逆の方法ですが、鉈(なた)やナイフを携帯していれば、あくまでクマを撃退する意思を示すことも、場合によっては有効という報告もあります。

 いずれにせよ実際クマの住んでいるところに我々が登山するのだから、なんかの拍子にクマに出喰わす可能性もあるはずだ。「そのとき自分はどうするか」と、イメージしながら山に登ることも大切なことだ。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

「親グマが猛烈なスピードで駆け降りてきて…」「前足が顔面を襲った」奥多摩の山道で起きた“ツキノワグマ遭遇事件”の顛末

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