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とうとう全部嫌になってしまった

 そして彼らは判で押したように日本統治時代以降の韓国の近現代史に対して無知で、朴正熙が日本の陸軍士官学校卒という事実も知らず、靖国に朝鮮出身兵士が祀られている事実も知らず、韓国国内の政治状況に関する基礎も全く無知だった。

 たまさか親日国という言葉を、彼らは少ない知識で一生懸命語った。例えば日本とトルコの親善関係というのを「エルトゥールル号事件」のネット動画でのみ知りトルコを韓国に対比させて絶賛する。ただ「トルコは親日国! 親日国!」と連呼するだけで私は心底幻滅した。

 当然トルコに行った事のある人間は一人もいなかったどころか、現代のトルコが王国だと思っており共和制である事すら知らないのだ。誰もが学部1年生レベルの教養も持っていなかった。本は買うだけで中身を全く読まない人たちであった。情報源は全部ネット動画だった。

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 しかもこれに留まらず、コメンテーター同士が些細な出来事で反目し、AがBを「在日朝鮮人だ」と陰で揶揄するという紛争まで勃発して私はそのレベルの低さと差別性にとうとう全部嫌になってしまった。更には在特会(在日特権を許さない市民の会)を支持する姿勢を公言し「先日会員になりましたが何か」と開き直る者もあらわれる始末だった。

 当然のことだがこんな程度の低い素人の寄せ集め番組では"視聴者年齢層を下方に拡大"することなど不可能になり、「勘弁してください。私はもうやっていられません」と局側に最後通牒を出したことが決定打となり2次改変を迎えたのである。

 2次改変以降からは「若者を取り込む」という目論みを放棄して、ゲストには既存のシニア言論人を招いての鼎談という形になった。今考えると、仮にそのような1次改変後の番組内での騒動がなかったとしても、そもそも若者を右傾的オピニオンに取り込むという試み自体が無謀であった。なぜなら政治的右傾を声高に主張する番組視聴者の主力はやはりシニア以外に居なかったからである。