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「早指しが弱いって言われていたけど…」プロも脱帽する藤井聡太竜王“グランドスラム(4棋戦制覇)”のすごさ

「早指しが弱いって言われていたけど…」プロも脱帽する藤井聡太竜王“グランドスラム(4棋戦制覇)”のすごさ

観る将アワード2022/2023レポート #2

2023/05/27
note

意外な金の使い方をした見応えのある竜王戦

――得票4位以下ですが、応援コメントいくつかご紹介します。まず広瀬章人八段です。

 藤井聡太竜王に挑戦した第35期竜王戦では深い研究と構想力の高さが際立ち、これまでのタイトル戦で藤井竜王を最も苦しめたのではないかと思う。第6局で敗れてタイトル奪取が叶わなかった当日の夜に、つい先ほどまで盤を挟んで戦っていた藤井竜王、大盤解説担当の棋士らと砂むし風呂に入り、穏やかな笑顔を見せる姿を見て、人間としての器の大きさを感じた。

(40代・女性)

遠山 竜王戦は素晴らしいシリーズでしたね。広瀬さんも、あの手、この手といろんな球を投げてきて。後手でも健闘していましたから、とても面白かったです。

深浦 自分はNHKの竜王戦ダイジェストを担当させてもらったんですが、そこでは金にスポットを当てていました。戦いの中で、意外な金の使い方をしていて面白かったですね。見応えのある竜王戦でした。

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――続いて、会長職を退任される佐藤康光九段へのコメントです。

 主に盤外での活躍になりますが、現役プレイヤー、それもトップ層でありながら会長として一大事業である会館の建て替え事業を取りまとめているところが本当にすごいと思います。

 以前、順位戦の翌日午前中にキャリーバッグを持って駅に佇む姿を拝見し、驚いたこともあります。会長職を辞することを発表したばかりですが、その中でプレイヤーとしての自分の成績に不満があると仰っていたことにも痺れました。

(30代・女性)

――あとはA級昇級を決められた中村太地八段とか、C1昇級を果たされた斎藤明日斗五段、藤井猛九段にも票がありました。さて、最優秀棋士賞は誰にしましょうか(笑)。

遠山 ふふふ(笑)。

深浦 毎年こんな感じですね。

――では、そういうことでいいですか?

深浦 はい。

――では最優秀棋士賞は、藤井聡太竜王に決まりました!

受賞の言葉(代理・師匠の杉本昌隆八段):

「3年連続で選んでいただいて、嬉しく思います。投票してくださったファンの皆様、選出をしてくださった深浦九段、遠山六段にお礼を申し上げます。

 タイトルをこの1年でまた一つ増やしましたので、そこが評価されたのかなと思います。気が早いですけれど、いま八冠に向けて新たなタイトルに挑戦している最中ですので、今年度もまた将棋界に注目していただけると嬉しく思います」

すべてのモヤモヤを吹き飛ばしてくれた決断

――続いては「最優秀女流棋士賞」です。得票結果はこのようになっています。

1位 里見香奈女流五冠
2位 甲斐智美女流五段
3位 西山朋佳女流三冠/山口恵梨子女流二段