昨年度の将棋界を「観る将」の視点で振り返る「観る将アワード」。
観る将ファンからの熱い投票を受けて、深浦康市九段と遠山雄亮六段とともに行った選考会の様子をご紹介したい。
上田初美女流四段のエッセイを読んでいるファンが多数
――続いては、「ベストエッセイスト賞」の発表です。投票の結果はこのようになりました。
1位 上田初美女流四段
2位 勝又清和七段
3位 菅井竜也八段
――1位になった上田さんへのコメントをご紹介します。
去年も上田先生を推したのですが、また今年もです。文春オンラインのコラムは子育て経験してきた私にもめちゃめちゃ頷けて、初美先生の奮闘を応援したくなります。加藤桃子先生の代打で人間将棋に出られた時のコラムの竹部先生と力を合わせてすべての駒を動かしたくだりの心理描写が秀逸でした。あわあわしていそうな竹部先生に対し、ゆったり構えている上田初美先生、思わず、初美姉さん!と呼びたくなりました。
(50代・女性)
――上田さんは、この賞の常連ともいえる存在で、文春オンラインのエッセイを読んでおられるファンの方が多いですね。
遠山 上田さんのエッセイは面白いですよね。本当に。
今回の王将戦は勝又先生の解説でさらに面白く感じた
――第2位は、勝又先生です。
王将戦第5局も名局でしたが、勝又七段の「二人の会話はまるで宇宙人」というコラムは、私のような初級者にもわかるように嚙み砕いてそのすごさを伝えてくれたと思います。
(60代・男性)
――勝又先生とは、現地でお会いになることも多いですか。
深浦 王将戦第6局の佐賀での対局にも飛行機と電車で来られて、いつも熱心だなと思っています。そういった現地に足を運んだ原稿を読むと、そのときの情景が浮かんできて素晴らしいなと。藤井聡太さんの将棋をやさしく説明するのは難しいと思うんですよ。それを試行錯誤されながら、書かれているといつも感じますね。
――遠山先生は、勝又先生の原稿はいかがですか。
遠山 ファンの方に、どうやったら喜んでもらえるかなと考えて書いておられるのが、読んでいてわかりますね。そこは見習っているところです。難しく書こうと思えば、いくらでも書けるんですが、そこをファンの方にわかりやすくと。
深浦 難しく書くほうが楽だよね。
――もうひとつご紹介します。
文春オンラインで掲載された「プロが読み解く第72期ALSOK杯王将戦七番勝負」がすごく面白かったです。今回の王将戦は名局揃いだったのもありますが、勝又先生の臨場感あふれる解説によって、さらに面白く感じました!
(20代・女性)
――こう言ってもらえたら嬉しいでしょうねぇ。第3位の菅井竜也八段は、やはりツイッターに言及される方が多いですね。
突然Twitter界隈に彗星の如くあらわれたアカウント「菅井竜也」。名前が本名、写真は誰でも入手可能なプロフィール写真、idがtatsuyaではなくtatuyaと怪しさ満載で完全に偽物だと思っており本物と知ったときは本当に驚きました。本人であることがわかってからはそれまでのイメージが入れ替わるほど親しみやすいツイート祭りでとても楽しかったです。タイトル挑戦のための一時休止なのでしょうか、叡王戦も応援しております。
(30代・女性)