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地元住民が語った“歴史”

 その方によると、あの道は林道だという。林道にしては立派すぎるのではないかという疑問もぶつけてみた。

「ここが村だったころ、林業が盛んで林業の町だった。だから、村長が立派な林道を造ると言って造ったんだ」

 わずか1キロ弱で行き止まりになっていることに関しては、「本当はもっと先まで延ばす予定だったけど、村が合併して村長が変わったから、そこで終わってしまった」と教えてくれた。

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 なるほど、林道としては不自然だと思っていた点も、理由を聞くと納得できる。中国道との関連についてもお聞きしたが、「高速道路とは全く関係ない」と完全に否定された。

 謎のトンネルは林道だったのか……。納得しかけていたが、念のため、もうお一人ぐらい話を聞こうと思った。しかし、何軒訪ねても人がおらず、聞くことができなかった。そこで、ここから近い安芸太田町役場の筒賀支所を訪ねてみることに。

安芸太田町役場筒賀支所に道の歴史の真相を尋ねる

 突然の訪問で申し訳なかったが、窓口で道のことを尋ねてみた。すると、支所にいた職員さんたちが総出で話し合い、電話でどこかへ問い合わせてくれている。非常に申し訳ないやら、ありがたいやらという気持ちになる。

 数十分後、どうやら結論に達したらしい。職員さんによると、問題の道は“林道大井山線”という名前で、その名の通り林道ではある。しかし、元々は高速道路建設時に管理用道路として建設されたもので、その後、町に移管されたのだという。

 なるほど。元々は高速道路のために造られ、その後、町に移管されて林道として使われていた。そう考えると、全ての謎は解決する。

 また、林道大井山線は現状として利用されていないのでそのままの状態にしているが、将来的にあの道を使う人が現れれば、きちんと整備するだろうということだった。林道周辺の植樹が搬出する樹齢に達したら、使われることがあるかもしれない。今使われていないからといって廃道にせず、道の将来のことまで考えてくれていることが嬉しい。道路台帳路線図のコピーをいただき、帰路についた。

コピーさせていただいた道路台帳路線図 

 これで謎は全て解明された……。そう思っていたが、後日、筒賀支所住民生活課の正木さんから連絡があった。正木さんは、その後もあの道のことを調べ続けてくれており、実は中国道とは無関係であることが分かったのだという。