阿部 あと、研修会は原則として1日4局ですが、事情がある場合、会員が希望すれば3局以下でも問題ないです。抜け番は不戦敗になりません。午前中に用事がある場合は2、3局目から参加することができます。午後から予定がある人は午前中に2局だけ指して帰ることもできます。研修会は奨励会と違って柔軟に対応します。入会したいけど遠方地域のため、1局目の開始時間に間に合わないという人は、一度相談してほしいです。
長谷部 親や本人の負担もあるのですが、そもそも地方だと将棋を指す文化がないというか、プロ棋士がどういう世界で、どう目指していいかがわかりませんでした。もちろん著名な先生の名前は知っていましたけど、より強くなるための具体的な方法や、プロ棋界については研修会に入ってから学んだ面が大きいです。
今の子どもはパソコンを使って将棋が強くなるのか?
――また現在だと、パソコンを使って勉強するということもあると考えます。マシンのスペック差が影響を及ぼす可能性についてはどうでしょうか。
石田 少なくとも、奨励会に入るくらいまでのレベルではパソコンの差が及ぼす影響は小さいと思います。それが現れるのは三段リーグ以降でしょうね。
長谷部 奨励会6級の子だと、まだ1手1手の意味が本質的な部分でわかっていないので、将棋ソフトが示す手順を覚えるだけで強くなるというのは不可能だと考えます。スペック勝負になるのは早くとも初段になってからでしょうね。
阿部 そもそも、今の子どもはあまりパソコンに触れないんですよ。1人1台スマホを持っている時代ですが、パソコンはあまり持っていないんですね。私の兄はブログを書いていますが、アクセスのうち99%がスマホからだと言っていました。
――文春オンラインに対するアクセスも90%がスマホからですね。
阿部 ですから、今の子どもがパソコンを使って強くなるのかというのは怪しいです。研修会でリモート対局を導入したのは、遠方の人間と指すことで多くの対戦相手を確保するためですが、将棋を通じてパソコンに触れてもらうという意味合いもあります。リモート対局は対局後に評価値が出るように設定されているので、それを見て感想戦を行います。そういうやり方があることも知ってもらいたいですね。ただ小学生の間にパソコンを導入するというのはなかなか難しいですよね。特に地方だとパソコンを扱えない親世代も多く、その重要性がわかっていないことで、若い人相手に情報共有ができないという面はあります。