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コロナ禍に研修会があったのは大きかった

――現在、6つある研修会のうち、九州、北海道、東北の3つは比較的最近できたものです。阿部さんと石田さんは研修会がない時代の東北と北海道で修業時代を過ごされたわけですが、当時と比較していかがでしょうか。

石田 もちろん、将棋を指す環境としてはあったほうがいいでしょうし、会員同士の刺激にもなっています。北海道研修会を経て奨励会入りした奨励会員は3人いますが、最初の1人が出てから、「自分もなりたい」という子が続くようになりました。

 私がプロになった2012年以降、北海道出身のプロ棋士は出ていませんが、北海道研修会出身のプロ棋士が誕生することを期待しています。

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阿部 私は山形県酒田市の出身ですが、中学生の時にはアマ強豪の加部康晴さんが席主を務める仙台の道場へ通っていました。バスで片道3時間の道のりですが、それほど苦にはしていませんでした。

 今のように仙台に研修会があったら通っていたと思います。東北研修会は9割がた、島先生(朗九段)の尽力でできたものですが、この数年間のコロナ禍において、東北研修会があったということは大きいと考えます。

――と、いいますと?

阿部 コロナ禍の影響で、民間の将棋教室が自粛し、将棋大会も全滅状態でした。クラスターが発生して責任問題になると大変ですから、やむを得ない部分はあります。そのような中で将棋連盟が責任を持つ形で研修会を運営し、子どもに指す場所を提供できたのは大きかったです。

阿部健治郎七段

――長谷部さんは栃木県出身で、奨励会入りの前には関東研修会へ通われていました。

長谷部 栃木からなので、さすがに30分や1時間で将棋会館へというわけにはいきません。ただ私の時代と比較して、北関東の子どもがより研修会に入ってきて、修業を積んでいるなという印象はありますね。

インターネットではなく対面で指すために

――現在は強い相手と指すだけならインターネットを通しての対局、あるいは将棋ソフトとの対戦も手段としてあり得ますが、対面で指すことを求めるために研修会へ入ってくる方も多いのでしょうか。

石田 やっぱり、面と向かって指したほうが面白いと感じる人が多いのではないかと思います。最近の研修会は阿部さんの尽力で、パソコンを通してのリモート対局もありますが、対面の対局を希望する子のほうが多いですね。モニターを通して相手の顔は見えても、雰囲気が違うんです。